洋上風力疑惑と秋本真利氏
2023.08.04
洋上風力は、2020年から始まった合計4500万kW、総事業費15兆円の大プロジェクトで、2021年12月に最初の3件の公募入札の結果が発表されたが、その結果に業界は驚いた。
事前の予想では早くから参入を表明していたレノバや日本風力開発などが落札するとみられていたが、結果は三菱商事グループが11.99円~16.49円/kWhと他社に5円以上の差をつけ、3件すべてを落札したのだ。
これでレノバの株価は6000円台から1200円台に暴落した。業者は政治家を使って巻き返しをはかり、エネ庁の担当者を呼び出して恫喝を繰り返した。再エネ議連の柴山昌彦会長は「毎週、議連の会合に役人や業者を呼んで、入札の問題点等について聞き取りを行ってきました」と認める。
この結果、いったん決まった入札のルールが、1回目の入札結果が発表されてから変更される異例の事態になった。5月に入札ルールが変更され、6月に行われる予定だった第2回の入札は2023年6月に延期され、審査方法も変更された。
「価格」から「迅速性」に重点を移したルール変更
その最大のポイントは、三菱商事グループの最大の強みだった価格のウェイトを下げることだ。全体で240点のうち、価格点が120点というのは変わらないが、業者の出した価格が最高評価点価格以下の場合は一律120点と評価することになった。
この「最高評価点価格」は未定だが、たとえば20円/kWhと決めれば、三菱商事もレノバも同じ120点となる。これでは入札とはいえない。
そして事業実施能力80点の中でも事業計画の迅速性に重点が置かれた。これによって早くから地元工作をしていたレノバが有利になるが、肝心の入札は1年延期されるという支離滅裂ぶりだ。
ゲームのルール変更を仕組んだ再エネ議連
このあからさまな政治介入を日本経済新聞が報じたのを河野太郎氏は警戒している。
それに不満なエネ庁が、業界がロビー活動をしてる、議員に働きかけをしてるというストーリーを作って、週刊誌や月刊誌に売り込んでいたのを、日経新聞まで提灯を持つようになった。 https://t.co/OFrCU4BU0a
— 河野太郎 (@konotarogomame) June 22, 2022
レノバの株主だった秋本議員は、すでに公示された入札ルールを変更させようと、昨年2月17日の衆議院予算委員会で萩生田経産相に「より早く、より安易に、政府の目標を確実に達成するためには、第二ラウンドからルールの変更をしていくべきだろう」と質問した。国会質問は、国会議員の職務権限である。
それより三菱商事が12円で落札した洋上風力が、レノバや日本風力開発に20円で落札されたら、これは再エネ賦課金に反映され、最終的には数兆円の国民負担になる。
秋本議員は日本風力開発から3000万円を受け取ったとされている。これは政治資金収支報告書に記載されていない裏金である。
今回の家宅捜索は秋本事務所だけだが、日本風力開発も事情聴取を受けており、レノバにも捜査が及ぶだろう。秋本については特捜部も十分証拠を固めており、焦点はそれがどこまで「本丸」に及ぶかである。(agora)より抜粋👉こちら
NHKも同様の報道(NHKニュース7(8月4日))
予想に反し、三菱商事中心の企業連合が落札
その後、秋本議員が国会で2回目の公募から評価の仕方を見直してほしいと要望
秋本議員の質問後プロジェクトの公募はなんといったん停止に
評価基準を見直し「稼働時期の早さに重点を置く」等
さらに他にも。秋本議員は青森県陸奥湾での事業参入を目指す、日本風力開発に「過度な規制をかけないように」と国会で発言
これについて、今日4日、西村経産相は「基準の見直しは適切に行われた」