トランプ司法省、NYTのリーク報道に対し刑事捜査を開始
トランプ政権下の司法省が、ニューヨーク・タイムズに機密情報がリークされた件について、刑事捜査を開始したという内容である。問題の中心は、トランプ大統領が発動した「敵性外国人」に基づくベネズエラの凶悪犯罪組織「トレン・デ・アラグア(TDA)」メンバーの強制送還命令を、情報リークにより妨害しようとした動きである。
司法副長官トッド・ブランチは、リークされた情報は「事実に反するが機密扱いのもの」であり、インテリジェンス・コミュニティ内の一部勢力、すなわちいわゆる「ディープステート」が政治的意図を持ってニューヨーク・タイムズへ情報提供したと批判。「トランプ大統領の政策を妨害する行為を容認しない」と明言した。

リークの内容は、2月26日の情報機関の評価報告に基づき、TDAの脅威を過小評価するもので、「国家支援もなく、アメリカ人を組織的に標的にしていない」と主張していた。だが、実際にはTDAは人身売買、麻薬密輸、恐喝などの国際的な犯罪活動を行う暴力組織であり、トランプ政権はこれを「外国テロ組織」に指定している。
一方、ニューヨーク・タイムズはこの捜査に反発し、広報担当者が「報道の自由を脅かす」と声明。リーク捜査が記者と情報源との関係を萎縮させ、重要な情報の公開が妨げられると主張した。
さらに、関連する動きとしてイーロン・マスク氏がペンタゴンでピート・ヘグセス国防長官と会談し、虚偽情報をリークする官僚の訴追を求めたことも報じられた。マスク氏は、中国に関する極秘軍事計画をブリーフィングされたという報道を否定し、「プロパガンダだ」と述べている。

トランプ政権は今回の機密情報のリーク元が政権内部、もしくはそれに非常に近い政府機関(特に情報機関)に存在すると見ている可能性が高い。
司法副長官トッド・ブランチの発言で特に注目すべきなのは、以下の点です:「インテリジェンス・コミュニティから選択的に漏洩された機密情報」(“the selective leak of inaccurate, but nevertheless classified, information from the Intelligence Community”)
この表現から、漏洩元は情報機関(CIA、NSA、DIAなど)や、政権内の国家安全保障関連部門に所属する人物や関係者であると推定していることが読み取れる。
また、「ディープステート(Deep State)」という表現は、表向きは政権に従っているが、実際には政権の方針に反対し、裏で妨害や操作を行う官僚・高官・情報機関関係者を指す、トランプ政権がたびたび用いる用語です。
つまり:
• 政権の政策(TDAの強制送還)を妨害する意図で
• 政府内の機密情報にアクセスできる立場にある者が
• 選択的に情報をニューヨーク・タイムズにリークした
と見ており、リーク元は政権外のマスコミや民間人ではなく、政府内部にいると強く疑っている。
そのため、司法省が「刑事捜査」に踏み切ったことは、単なる報道への抗議ではなく、政権内部に潜む“反トランプ勢力”の摘発を本格化させる動きとも解釈できます。

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