他者を誹謗中傷し注目を集め、訴えられたらそれをコンテンツ化しさらに収益をあげるビジネスモデルは、日本の司法に対する「ハック」
3月28日
ニューズウィーク日本版は、昨年4月「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけたとした記事を掲載した。文学者がネット上で名誉を傷つけられたとして訴えた裁判で、東京地裁は男性に対し、220万円の賠償を命じた。同種の裁判と比べると、220万円という金額は重い。
この判決は、被告が裁判費用を大きく上回る450万円のカンパを集め、裁判の過程をコンテンツ化して収益化するという「誹謗中傷ビジネス」に対し歯止めをかけるものと評価されている。
判決では、カンパ募集が誹謗中傷の同調者を扇動する行為と認定され、慰謝料増額の理由とされた。これは、日本の司法制度に対する“ハック(本来の目的とは違う形で、うまく制度を悪用して利益を得る)”ともいえる手法への初の実質的な反撃とされ、今後の同種の訴訟に影響を与える可能性がある。

なぜ男性が支払う賠償額が跳ね上がったのか。ポイントは、男性がこの訴訟を戦うにあたって、訴訟費用をはるかに上回る450万円ものカンパを集めたことだ。
裁判の判決文は、男性のカンパについても言及している。いわく、男性が「本件訴訟のために公然といわゆるカンパを募ることは」原告を貶める「同調者をあおるものといえる。これらは、原告の慰謝料増額事由として評価すべきである」
最近では、面白半分で他者を誹謗中傷し、訴えられるとカンパを集め、あるいは訴状などの関連文書をnoteなどの収益化されたブログサービスに公開したり、法廷での様子を含む裁判の経過を面白おかしくネットニュースにしてYouTubeなどの動画サービスで配信したりするなどして金を集めるビジネスモデルが問題になっている。
名誉棄損の有無にかかわらず、他者を誹謗中傷して注目を集め、相手から訴えられたらそれをコンテンツ化してさらに収益をあげるというこうしたビジネスモデルは、日本の司法制度に対する「ハック」であり、法秩序そのものを危険に晒しかねない。

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