日本国債は“炭鉱のカナリア”
「The Price Is Rice」という表現は、米国の人気テレビ番組「The Price Is Right(ザ・プライス・イズ・ライト)」のもじりであり、日本国債(JGB)の流動性危機が世界的な警鐘であることを示唆している。
‘The Price Is Rice’ – JGB Liquidity Crisis Is A Global Warning https://t.co/rxit03Rz49
— zerohedge (@zerohedge) May 22, 2025
「The Price Is Rice」──日本国債流動性危機は世界への警鐘
2025年5月21日、20年物、30年物、40年物といった「超長期国債」の利回りが軒並み急騰し、ついには一部の入札が不調に終わるという異常事態に発展した。市場では「流動性の蒸発」が起きており、日銀が国債の半分以上を保有するという極端な状況が、価格形成機能を完全に損なっているとの指摘が相次ぐ。
こうした状況をZerohedgeは「The Price Is Rice」という言葉で皮肉った。この一見ユーモラスなフレーズの裏には、日本経済、そして世界市場にとって深刻な意味が込められている。

「The Price Is Rice」は、アメリカの人気番組『The Price Is Right(ザ・プライス・イズ・ライト)』のもじりである。同番組では、参加者が商品の「正しい価格(Right)」を当てることが目的となっており、これは市場における価格発見機能、すなわち需給によって適正な価格が決まる仕組みを象徴するものと捉えられる。
しかし、今の日本国債市場では、その「正しい価格」がもはや存在しない。日銀が長年続けてきた国債買い入れによって市場は歪められ、入札が成立せず、国債が実質的に「売買されない商品」と化している。
“Right”を”Rice”に置き換えた理由には、以下のような複数の意味が込められている。
• 日本の象徴:英語圏では「Rice=日本」を連想させる表現があり、これは文化的記号として機能している。
• 価格の歪み:“Right”(正しい)が”Rice”(日本的な歪んだ価格)に置き換えられたことで、「本来の市場価格が失われた」ことへの皮肉となっている。
• 機能不全の象徴:見かけ上は価格が存在していても、実際には誰も買わず、誰も売らず、需給が存在しないという「虚構の市場」が、まさに「The Price is Rice」という言葉に凝縮されている。

現在、日本銀行は国債市場全体の約半分を保有し、特に超長期債に至っては、市場流通量のほとんどを占めるという異常な状態である。この結果、生命保険会社などの伝統的な長期投資家は市場から撤退し、入札に応札が集まらない事態が常態化している。5月には、30年債と40年債の利回りがそれぞれ3.14%、3.6%と過去最高水準に達し、投資家心理に大きな影を落とした。
日本は米国債の最大の保有国でもある。日本の金融機関が国内債券市場の不安定化を受けて資金を国内回帰させれば、米国債の需要が減り、米金利が上昇する可能性がある。また、新興国市場でも、日本からの資金流入に依存している国々において通貨安や資産下落といった副作用が懸念されている。

新記録:日本の30年国債利回りは3.184%と急上昇
「30年物日本国債は、“デュレーションの炭鉱のカナリア”だ」──ゴールドマン・サックス
注目すべきだ。日本が動くとき、それは雑音ではない──シグナルである。
🇯🇵 “30y JGBs: the canary in the duration coalmine.” – Goldman Sachs Pay attention. When Japan moves, it’s not noise—it’s a signal #GoldmanSachs #JapanIsNewGreece #BondKing
— M.Giuliani & Co. (@mgiulianico) May 22, 2025
このゴールドマン・サックスの言葉は、日本の30年物国債の動きを、世界の金利市場における「警告サイン」として捉えよという強いメッセージである。
■「炭鉱のカナリア」とは?
• 昔の炭鉱では、有毒ガス(主に一酸化炭素)検知のためにカナリアを使っていた。
• カナリアが死ぬ=人間にとっても危険が迫っている、という早期警告のシンボル。
■「デュレーションの炭鉱」とは?
• 「デュレーション」とは債券価格の金利変動に対する感度を示す指標であり、期間が長いほどデュレーションも高く、金利変動の影響を強く受ける。
• つまり、30年物のような超長期債は、金利変動や市場不安の初期兆候が現れやすい場所である。
• それが「カナリア=危険を最も早く察知する存在」となっている。
■「日本が動くとき、それは雑音ではなくシグナル」
• 通常、日本の国債市場は「安定」「沈黙」「非変動」とされる。
• その日本の長期債が大きく動く=世界的に重大な金利環境の変化が起きているサイン。
• ゴールドマンは「これは単なるノイズではない。世界全体にとって本物の“シグナル”だ」と警告している。
参考記事

