百田尚樹氏、政府対応を痛烈批判「ガス抜きで終わってはならない」~全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会で
2025年5月24日、東京都千代田区で開催された「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」において、日本保守党代表の百田尚樹氏が登壇し、政府および国会の対北朝鮮政策に対して強い批判を展開した。
百田氏は冒頭、「本日、2度目の参加となるが、非常に虚しい思いを抱いている」と述べ、政府関係者や議員たちの「美しい」「力強い」言葉とは裏腹に、拉致問題解決に向けた具体的進展が見られない現状に失望を示した。
「国際協力が必要」「優先課題だ」と語る政治家の言葉を引き合いに出しながらも、「実際には何も優先されていない」と断じ、国会での強い決議が行われていない現実に対して「それでは国民を守れない」と語気を強めた。

さらに百田氏は、「本来ならば戦争をしてでも取り返すべき国民だ」と述べたうえで、日本が憲法第9条により軍事的手段を取れない以上、「徹底的な経済制裁しかない」と主張。だが、政府がそれすら本気で行っているとは思えないとし、その根拠として「日朝国交正常化推進議員連盟(いわゆる日朝議連)」の存在を挙げた。
百田氏は、「なぜ自国民を拉致した国と国交正常化を進めるのか」と疑問を投げかけ、現職の石破茂首相をはじめ、防衛大臣・外務大臣が日朝議連の幹部を務めていることを「常軌を逸している」と批判。「国交正常化を語るような国家ではない」と強く否定した。
また、自身が5月3日に訪れた新潟・横田めぐみさん拉致現場の印象についても語り、「普通の住宅街で、中学校や大学もある。そんな日常の中で少女がさらわれたことに愕然とした」と訴えた。

47年間、政府が「最重要課題」と言い続けながらも実質的な進展がないことを「看過できない」とし、「この集会が“ガス抜き”で終わってはいけない」と重ねて警鐘を鳴らした。
締めくくりに百田氏は、「もし私が総理なら、北朝鮮に『毎年1兆円を10年間支払う』と約束して全員返してもらい、返してもらったらその約束は反故にする」と述べ、「嘘をつく相手には正攻法だけでは通用しない」と強調した。
時間制限を超過したことに対して「多少の延長くらい文句言うな」と、終始熱を込めた演説で会場の注目を集めた。(TNW)

百田尚樹代表、演説全文
日本保守党代表の百田です。今日はこの国民大集会に、2度目の出席となりました。2回ここでお話しさせていただいていますが、私は非常に虚しい思いをしております。
今、総理大臣、官房長官、そして立派な国会議員の皆さんが、それぞれに素晴らしく、力強い言葉をお話しされました。しかしながら、今日の皆さんの話を聞いていて、「あ、これは拉致問題が進展しそうだ」「何か解決に向かって動いていそうだ」と思えるような希望が、全く見えてこなかったのです。
皆さん、厳しいことはおっしゃいます。「これは大変な国家的課題だ」「国際協力も必要だ」「一刻の猶予も許されない」「何よりも優先すべき課題だ」と。ですが、実際にはまったく優先課題にはなっていません。

「啓発が必要だ」「広報をしなければならない」と議員の皆さんは言います。ならば、まず国会で強い決議を出してください。本来ならば、これは戦争をしてでも取り返すべき国民の命でしょう。でも日本には憲法第9条があり、それができません。では、どうすればいいのか。
答えはひとつ、徹底的な経済制裁です。これしかないのです。
しかし、私は政府の言っていることを信じていません。国会議員もそうです。なぜか。それは「日朝国交正常化推進議員連盟(=日朝議連)」という存在です。これは「北朝鮮と国交を正常化しよう」という団体です。
ですが、そんな国家と国交正常化なんてできるのでしょうか?自国民を多数、連れ去り、返すこともしない。そんな国と国交を結ぶなんて、常識的におかしいでしょう。
しかも、日朝議連には超党派の多くの国会議員が参加しています。そして今の総理大臣・石破さんも、この議連のメンバーです。さらに、石破首相が任命した防衛大臣――あえて名前は言いません――その防衛大臣は日朝議連の「幹事長」です。外務大臣も「副幹事長」です。この人事、おかしいと思いませんか?普通じゃないんですよ。

私は今月、5月3日の憲法記念日に新潟に行きました。横田めぐみさんが拉致されたとされる現場を、実際に歩きました。それまで私は「人通りの少ない海岸で拉致されたのだろう」と勝手に思っていました。ですが、現実はまったく違いました。
そこは中学校や横田さんの住んでいた社宅があり、歩いて5分ほどの距離。新潟大学もすぐそばにあり、普通の民家が並ぶ住宅街です。そんなごく普通の町の中で、拉致が起きたのです。私は愕然としました。
「これが日本か?日本はこんな国になってしまったのか」と。
当時は状況が分からなかったというのは理解できます。しかし、それから47年、日本政府は「最重要課題だ」と言い続けてきましたが、まったくそうなっていないではありませんか。

この大会が「ガス抜き」で終わってはいけないと思っています。皆さん、今日も力強く、素晴らしい言葉を語ってくださいました。でも、「水面下でいろいろ動いている」と言うだけでは、私たちには何も見えません。何か「見える」ようにしてください。
さらに申し上げます。私は国会議員ではありませんので、遠慮せずに言います。私がもし総理大臣だったら、こう言います。
「北朝鮮に、毎年1兆円を10年間渡すと約束して、拉致被害者を返してもらう」
そして返してもらったら、その約束を反故にします。当たり前です。相手は嘘つきです。こちらも正攻法だけで相手できるような相手ではありません。
(長いのヤジに)
私だけじゃないですよ、時間守ってないのは。石破さんもだいぶ長かったです。少しくらい長くなったって文句言うなて。拉致された方は47年も・・おるやん――以上で終わります。ごありがとうございました。

百田さん。
日本保守党、一党員として誇らしいです。
ありがとうございます。#拉致被害者全員奪還#特定失踪者にも光を #日本保守党#百田尚樹@hoshuto_jp https://t.co/o0oD12NGJo https://t.co/CqKvcFESji pic.twitter.com/UqxVbmwqMv— るる (@ruru08210821) May 24, 2025
@ruru08210821氏のポストより
これまで国民大集会は10回以上出席しましたが、今回は参加できませんでした(TNW)

参考記事
(画像:sukuukaiweb氏のYouTube)