トランプ政権下で100万人の不法移民が「自発的出国」 賃金上昇と労働市場に波及効果
6月17日
NYPによれば、トランプ大統領が再び推し進める移民政策が、アメリカ社会に大きな影響を与えている。最新の報道によれば、同政権下でこれまでに約100万人の不法移民が「自発的出国(self-deportation)」したとされており、これが労働市場における賃金上昇という形で現れている。
この「自発的出国」は、トランプ政権が打ち出した新たな「二本柱」の移民政策の一環である。一つは従来通り、犯罪歴のある外国人の逮捕・強制送還。そしてもう一つが、登録制と支援金制度を組み合わせた自発的な帰国奨励策である。
具体的には、不法滞在者に対し、政府が開発したアプリ(旧CBP One)を通じて登録を促し、登録後に「自ら出国すれば、将来的に合法的に再入国できる可能性がある」と明示。また、帰国の航空券に加え、1人あたり1,000ドルの支援金を提供することで、自主的な出国を後押ししている。

この施策の結果、アメリカ国内の低賃金労働市場から大量の非正規労働力が流出。経済指標にも影響を及ぼし、5月の平均時給は前年比0.4%上昇し、36.24ドルに達した。企業側にとっては一時的な人材不足が課題となるものの、国内労働者にとっては賃金と雇用の改善がもたらされていると専門家は指摘している。
さらに、強制送還に比べてコストも大幅に削減されており、税金の節約にもつながっている。強制送還では1人あたり約1万ドル以上のコストがかかるとされるが、自発的出国プログラムでは数千ドルで済むため、「移民問題の合理的解決策」として高く評価され始めている。
トランプ政権はこの動きを、2025年の再選後の移民政策の柱に据えており、今後もさらなる制度拡充が検討されている。移民問題が再びアメリカの国家政策の最重要課題として浮上する中、この「自発的出国モデル」が他国の注目を集める可能性もある。

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