トランプ政権、英語不得意な移民などの生徒への配慮方針を撤回
8月21日
米紙ワシントン・ポストは8月20日、トランプ政権が英語が堪能でない生徒に配慮するよう定めた長年の連邦指針を撤回したと報じた。教育省は、この指針が「過度に細かすぎる」として廃止を決定し、今後は各州や学区の裁量に委ねる方針に転換した。
問題となったのは、2015年にオバマ政権下で出された「Dear Colleagueレター」と呼ばれるガイダンスである。これは1964年公民権法および1974年教育機会均等法に基づき、英語学習者に対する教育支援を明文化したものであった。学校が支援を怠れば差別と見なされ、連邦調査や制裁の対象となり得る仕組みだった。
トランプ大統領は今年3月に英語を米国の「公用語」と定める大統領令を発出し、連邦機関による多言語対応の縮小を推進してきた。
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司法省は7月、全ての連邦機関に「不要不急の多言語サービスを縮小せよ」と通達しており、今回のガイダンス撤回はその一環と位置付けられる。
全米では約500万人の英語学習者が在籍し、その多くは米国内で出生した児童である。教育擁護者らは、連邦の監視が外れることで資源不足の学区が支援を削減する恐れがあると警鐘を鳴らしている。すでにボストンやニューアークなど一部都市では司法省によるモニタリングが解除されており、現場での影響が懸念される。
一方、政権支持層からは「コスト削減につながる」「各州の裁量に委ねるべき」との声も根強い。これに対し、元教育省英語習得支援オフィス長のモンセラート・ガリバイ氏は「この指針は教師にとって聖典のような存在であり、生徒の学業成功に不可欠だった」と強く反発している。
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