トランプ大統領、タッカーのフエンテス出演問題に言及 保守陣営で深まる分裂
トランプ大統領は、タッカー・カールソンが極右活動家ニック・フエンテスを番組で取り上げたことについて、「彼に誰をインタビューすべきかは言えない。もしやりたいなら、広めてくれ。最終的に判断するのは人々だ」と述べた。本件は、保守陣営で既に拡大している分裂をさらに深める火種となっている。
ニック・フエンテスは、主流保守派から強く拒絶されてきた人物である。白人ナショナリズム、反ユダヤ主義、ホロコースト否定、女性蔑視、人種差別といった極端な思想と挑発的言動で知られ、共和党上層部や伝統的保守メディアは「党のイメージを損なう有害な存在」として距離を置いてきた。保守系論客ベン・シャピロやヘリテージ財団関係者らも、彼を公然と批判している。

フエンテスは過去に「Groyper Wars」と呼ばれる運動で、チャーリー・カーク氏のターニングポイントUSA(TPUSA)やCPACなど主流保守団体のイベントを妨害し、「移民政策や親イスラエル姿勢は裏切りだ」と攻撃してきた。
この行動により各種保守イベントから排除され、RNCからも「憎悪のレトリック」と断罪された。さらに、航空機乗務員への脅迫で搭乗禁止リスト入りとなるなど、スキャンダルが絶えない。
2022年には、トランプ氏がカニエ・ウェストと共にフエンテスと夕食を共にしたことが大騒動となり、トランプ氏は「彼が誰か知らなかった」と弁明した。主流保守派はこの件を「政治的判断ミス」と激しく批判した。

そして2025年10月、タッカー・カールソンがフエンテスを出演させ「才能ある」と評価したことで、再び大論争となった。保守メディア、宗教保守、親イスラエル派、共和党主流は一斉に反発し、「白人至上主義を正常化する行為」と非難が殺到。ヘリテージ財団では内部反発が起き、辞任者が出る事態となった。
一方で、MAGA内部の一部若年層や「Groyper」と呼ばれる極右コミュニティはフエンテスを支持し、「本物のアメリカ・ファースト」と称賛している。タッカー周辺やProject 2025関係者の一部も「言論の自由」を理由に擁護する姿勢を示す。
しかし全体として、共和党主流派はフエンテスを明確に拒絶しており、彼の影響力はオンラインの限られたコミュニティにとどまると見られる。今回のタッカー騒動は、保守陣営内の深刻な亀裂を改めて浮き彫りにしたといえる。

トランプ大統領、タッカー・カールソンのニック・フエンテスとのインタビューについて「彼に誰をインタビューすべきか言えない…もし彼がニック・フエンテスをインタビューしたいなら、彼についてあまり知らないが、もしやりたいなら、広めてくれ、彼にやらせて…最終的に、人々が決めることだ。」
「タッカーのような人間にとって、人と会い、人と話すこと、それが彼らの仕事だ」
NOW – Trump on Tucker Carlson’s interview with Nick Fuentes “you can’t tell him who to interview… if he wants to interview Nick Fuentes, I don’t know much about him, but if he wants to do it, get the word out, let him… ultimately, people have to decide.” pic.twitter.com/eFIlO1zR7v
— Disclose.tv (@disclosetv) November 17, 2025
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