共和党、暴力的な「再犯常習犯」を釈放した判事らへの法的責任追及を狙う法案を提出
Republican Pushes Bill To Hold Judges Accountable For Releasing Violent Repeat Criminals
アメリカ下院の共和党議員 Randy Fine(フロリダ州選出)は、暴力犯罪の前科がありながら再逮捕までの保釈中に人を殺害・重傷させるなどした「再犯常習犯」を釈放した判事らを民事訴訟で訴えられるようにする新法案を準備中である。法案名は Judicial Accountability for Irresponsible Leniency Act(JAIL法案)。
この動きは、2025年8月にノースカロライナ州シャーロットのライトレールで起きた事件――ウクライナからの難民女性 Iryna Zarutska(23歳)が、34歳のキャリア犯罪者 Decarlos Brown Jr. に無差別に刺され死亡した事件――をきっかけとしている。Brown は少なくとも14件の逮捕歴があり、殺人および強盗など過去の暴力犯罪で有罪判決を受けていたにもかかわらず、直近の逮捕では保釈されていた。Fine はこのような判事らを「武装した保安官に守られながら人々を危険にさらす者たち」と批判している。

JAIL法案の主な内容は以下のとおりである。 
• 暴力犯罪の前歴がある「再犯常習犯」を保釈(または無保釈釈放)した判事や関係政府機関に対し、その後その者が再び暴力犯罪を起こした場合、被害者または遺族が民事訴訟を起こせるよう認める。
• 従来の「司法判断の免責(judicial immunity)」をこのようなケースでは認めず、裁判官個人を訴訟の対象とする。
• 対象となる「被告(covered defendant)」は、現行の起訴犯罪が暴力犯罪であり、かつ過去に暴力犯罪で有罪となった前歴を持つ者。 
法案を支持する共和党議員らは、「再犯常習犯を釈放し続ける司法制度は、安全を望む一般市民の生活を危険にさらす」「判事らには被害者の命の重みを自覚させる必要がある」と主張する。Fine は、「酔った客に酒を出しすぎて事故を起こしたバーテンダーが責任を問われるなら、銃を持つ保安官を傍らに抱えて人殺しを釈放する判事が責任を問われないのはおかしい」と述べた。

一方で、この提案には批判の声もある。ある法学者は、「判事の判断に対して民事訴訟を認めることは司法の独立性を損なう」と警鐘を鳴らす。実際、別の法案である Judicial Accountability for Public Safety Act を提案した下院議員 Tim Moore(ノースカロライナ州選出)は、免責を除くのは限定的なケースだけだとしているが、それでも「司法判断の重荷を司法官に背負わせすぎる」との懸念は根強い。 
法案の成立可否は未知数であるが、近年のアメリカで増加している「再犯犯による凶悪犯罪」を受けて、司法制度のあり方、特に保釈や判事の裁量に対する再考をめぐる議論が激しくなってきていることを示す動きである。今後、司法の独立性と公共の安全のどちらを優先するか、アメリカ社会で大きな論点となろう。
(引用:Fox News, Washington Examiner, The National Desk)

参考記事




