高市自民党は大勝か大敗か――選挙結果を左右する二つの要因
高市早苗首相率いる自民党は、次期衆院選で大勝するのか、それとも大敗を喫するのか。政界では見方が真っ二つに割れている。情勢を複雑にしているのは、いくつかの報道とシミュレーションが相次いで示されている一方で、決定的な要素がいまだ見えていない点にある。
発端となったのは、讀賣新聞による「高市首相が解散に打って出る」とのスクープである。これを受け、「自民党大勝予想」が一気に広がった。これに危機感を抱いた公明党と立憲民主党は、捨て身とも言える「中道革新連合(中革連)」構想を打ち出した。ただし、参議院は温存するという“保険”も同時にかけている。
この動きを受け、日テレ、時事通信、朝日新聞などは、公明党の票が自民党から中革連へ移動した場合のシミュレーションを相次いで公表した。特に朝日新聞は、2021年および2024年の選挙結果をもとに、公明票が「10割・7割・5割」移った場合を試算している。

その結果、自民党が勝てるのは、比較的好調だった2021年選挙で、かつ公明票が5割移動したケースのみとした。その場合でも、自民131議席に対し中革連120議席という、きわめて薄氷の勝利であるという悲観的な内容であった。
一方、楽観的な見方を示す論者も少なくない。経済学者の高橋洋一氏、ジャーナリストの石橋文登氏、門田隆将氏、さらに朝日新聞の今野忍氏らである。
このうち高橋氏は、「注目すべきは高市人気である」とし、内閣支持と与党支持を掛け合わせた青木率が90%前後で3か月続いている点を強調する。「これは異常値であり、2005年の小泉郵政解散時の空気と酷似している」と述べ、圧勝シナリオを描いている。
石橋氏や今野氏、門田氏は別の観点から楽観論を展開する。彼らは、公明党の票が中革連に流れるとしても、実際には半減以下にとどまり、結果として中革連は惨敗すると見る。

石橋氏によれば、小選挙区で動くとされる約1万5千票のうち、公明党の純粋な組織票は5千票程度にすぎず、元立憲・元公明の浮動層は半分以下になるという。
また、公明側が「1万~2万票を渡す代わりに比例で優遇してほしい」と考えているとされる点についても、現場の学会員からは「立憲には入れたくない」という声が多いという。26年間にわたり自民党と地域活動で結びついてきた人々が、急に立憲支援へ転じるとは考えにくいという指摘である。
今野氏も、立憲側の過度な期待に疑問を呈する。立憲関係者が「自分の選挙区には1万6千票ある」と語る一方で、「まだ挨拶もしていない」と述べている点を挙げ、「その票が丸ごと来る保証はない」と冷静に分析している。
これに対し、sakisiruの新田哲司氏やJX通信の米重克洋氏は、朝日新聞のシミュレーションを重く見るべきだとし、警戒を呼びかけている。

こうした中で、勝敗を分ける鍵は大きく二つある。
第一は、多くの関係者が指摘する「公明党の票がどこまで動くのか」である。この点について、今日放送されたNHK「日曜討論」で、公明党の西田実仁幹事長が本音とも取れる発言をした。司会者から「公明党は自民党と全く選挙協力をしないのか」と問われた際、西田氏は「小選挙区はまだ全て決まっていない。場合によっては個人の関係、付き合いもあるだろう」と述べ、地域によっては協力の余地があることを示唆した。
これは、「地域の自公の付き合いは深く、昨日まで自民を応援していた人が、明日から立憲と言われてもそうはならない」という石橋氏や今野氏の指摘と一致する。また、自民党幹事長も同様に、地域ごとの連携の可能性をにじませている。
第二の要因は、高市人気そのものである。高橋氏が強調するように、これは2005年の小泉純一郎氏による郵政解散時の熱狂と重なる可能性がある。現在、「高市個人の人気は高いが、自民党全体の支持はそこまでではない」との見方もあるが、高橋氏は青木率を根拠に「空気はすでに圧勝局面に入っている」と見る。

重要なのは、日テレ、時事、朝日の各シミュレーションが、この高市人気をほとんど織り込んでいない点である。2021年の自民党が有利だった選挙でさえ、「公明票5割移動」という仮定の下で辛勝とされているが、そこに高市効果は加味されていない。
さらに、もう一つ注目すべき要素がある。それが、明日19日に予定されている高市首相の記者会見である。これまで、首相は「何のために解散するのか」を正式には明らかにしておらず、メディアも深く追及してこなかった。
しかし、郵政解散で小泉自民党が圧勝した最大の理由は、「郵政民営化の是非」という明確なワンイシュー選挙に持ち込んだ点にあった。あの記者会見が、流れを決定づけたのである。
明日、高市首相が解散の目的をどう語り、国民に何を訴えるのか。そして、公明党の票が実際にどこまで動くのか。これらが見えない現段階において、各種シミュレーションは決定的な意味を持つとは言い難い。大勝か大敗か――その答えは、まさにこれから示される局面に委ねられている。
(ソース:言論テレビ、sakisiru、選挙ドットコム、静岡朝日テレビ)
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