女性・女系天皇見送り
安定的な皇位継承策を議論する有識者会議(座長・清家篤元慶応義塾長)は16日の第7回会合で、皇位継承資格を男系男子に限定する皇室典範の規定を尊重し、現在の皇位継承順位を維持する方針を確認した。
これに伴い、女性・女系への資格拡大は見送る。
今後は旧宮家の男系男子子孫の皇籍取得も議論される
皇族数確保のため、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の創設と、旧宮家(旧皇族)の男系男子子孫による皇籍取得の是非の2案を軸に今後の議論を進める。
継承順位の維持は、清家氏が会合後に記者団に明らかにした。現順位を見直せば皇室制度が動揺しかねないため、混乱を回避すべきだと判断した。【共同通信】(ロイター)
なぜ男系継承でなくてはならないか(竹田恒泰氏)
■もはや理由などどうでもよい
「天皇の皇位がなぜ男系によって継承されてきたか」。これに答えるのは容易ではない。そもそも、人々の経験と英知に基づいて成長してきたものは、その存在理由を言語で説明することはできない。なぜなら、特定の理論に基づいて成立したのではないからだ。天皇そのものが理屈で説明できないように、その血統の原理も理屈で説明することはできないのである。
だが、理論よりも前に、存在する事実がある。男系継承の原理は古から変更されることなく、現在まで貫徹されてきた。これを重く捉えなくてはいけない。例えば、現存する世界最古の木造建築である法隆寺は、その学問的価値の内容にかかわらず、最古故にこれを簡単に立て替えてはいけない。同様に、天皇は男系により継承されてきた世界最古の血統であり、これを断絶させることはできない。
もはや理由などどうでもよいのである。特定の目的のために作られたものよりも、深く、複雑な存在理由が秘められていると考えなくてはいけない。
男系継承は性別の問題ではない
■男系継承とは家の領域の問題
男系継承は男女の性別の問題と勘違いされるが、そうではない。いうなれば家の領域の問題であり、男女は関係ない。男系継承とは、「天皇家の方に天皇になってもらう」ことに尽き、それは天皇家以外の人が天皇になるのを拒否することに他ならない。
民間であっても、息子の子に家を継がせるのが自然で、娘の子たる外孫に継がせるのは不自然である。愛子内親王殿下の即位までは歴史が許すが、たとえば田中さんとご結婚あそばしたなら、その子は田中君であって、天皇家に属する人ではない。もし田中君が即位すれば、父系を辿っても歴代天皇に行きつくことのない、原理の異なる天皇が成立する。
民間ならば、継承者不在でも、外孫を養子にとって家を継がせることもあるだろう。しかし、天皇はそれをやってはいけない。継承者がいなくなる度に養子を取るようなことがあれば、伝統的な血統の原理に基づかない、天皇が成立することになり、それは既に天皇ではないのである。(北海道神宮HP特集コラムより抜粋)
皇位継承問題
第二次世界大戦後、敬宮愛子内親王などの皇族の女子が誕生する一方で、秋篠宮文仁親王誕生以降は悠仁親王の誕生まで約40年もの間皇族の男子が誕生せず、皇位継承権を持つ皇族の男子が不足していることを背景に、皇統の「女系天皇」を容認しようとする皇室典範に関する有識者会議などの動きがあった。
万世一系の伝統から男系男子による皇位継承を求める意見、男系にこだわらない「女系天皇」容認論、さらに踏み込んでの直系長子の皇位継承を主張する意見等、皇位継承を巡って論争となっている。
(ばんせいいっけい)は、永久に一つの系統が続くこと。 多くは皇室・皇統(天皇の血筋)についていう。