マレーシア保健省がシノバックワクチンの接種を中止する
2021年8月8日
中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製ワクチンに頼っていたマレーシア保健省がいずれ同ワクチンの接種を中止するという方針を表明した。
同誌によると、マレーシア保健省がこの決断に達したのは、伝染性の高いデルタ株に対して科興控股生物技術製ワクチンの有効性が低いことを示唆する裏付けがあるためである。マレーシアは人口の70%に投与するのに十分な4,500万回分のファイザー(Pfizer)/ビオンテック(BioNTech)製ワクチンを確保したと、同誌は報じている。
ロイター通信が報じたところでは、マレーシアのアドハム・ババ(Adham Baba)保健相は、「1,600万回分[の科興控股生物技術製ワクチン]の約半分をすでに国民に投与しており、残りを2回目の接種に使用する」とし、「ワクチン未接種者にはファイザー/ビオンテック製ワクチンを投与する」と話している。
インドネシア、タイでは中国製ワクチン接種者に追加接種
複数の報道によると、インドネシアでは中国製ワクチンの投与を受けた医療従事者が新型コロナウイルス感染症検査で陽性となり、一部が死亡する事例が発生したことで、科興控股生物技術製ワクチンの接種者に追加免疫接種(ブースター)を行うことを予定している。
ザ・ディプロマットが伝えたところでは、同じく東南アジアのタイでも医療従事者の間で同様の症例が急増したことで、科興控股生物技術製ワクチンの接種者にアストラゼネカ(AstraZeneca)製ワクチンによる追加接種を実施している。
ザ・ディプロマットの記事には、「潜在的な科興控股生物技術製ワクチンの低有効性により東南アジア諸国に問題が発生しており、こうした諸国はmRNA(伝令RNAとして知られる分子)技術で開発された有効性の高いワクチンを確保することに苦心して取り組んでいる」および「これにより、戦略的利益を目的としてワクチン外交を続けてきた中国の企みが浮き彫りになり、中国に対する信頼性がすでに低下傾向にある国々で中国の評判が地に落ちる可能性がある」と記されている。
中国保健当局自体が自国製ワクチンを投与した中国国民に対する外国製ワクチンの追加接種
複数の報道によると、中国保健当局自体が自国製ワクチンを投与した中国国民に対する外国製ワクチンの追加接種の必要性を検討している。
戦略国際問題研究所(CSIS)グローバルヘルスポリシーセンター(GHPC)の上級副社長兼局長を務めるスティーブン・モリソン(Stephen Morrison)博士はボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して、「これで中国自体が自国製ワクチンを信頼していないことが暗に示されることになった」と述べている。
参考記事
(画像:WHO)