17年間の休止の後、何十億もの赤い目のセミが地上を這い始めています
After a 17-year hiatus, billions of red-eyed cicadas are beginning to crawl their way above ground https://t.co/BjsB8GqZBX pic.twitter.com/sMNYegPoIR
— Reuters (@Reuters) May 18, 2021
大音量で鳴くセミの大群に住民は戦々恐々。 pic.twitter.com/y3dUXxgoQN
— ロイター (@ReutersJapan) May 18, 2021
米国、17年ぶりのセミの大羽化による大合唱を待つ
17年前に何が起こっていたか覚えていますか?あれから多くのことが変わりました。しかし、再び、何十億もの赤い目をしたセミが、米国東部の一部の地域で再び地上を這い始めている。
ワシントンD.C.をはじめ、ジョージア州からニューヨーク州、西はインディアナ州、イリノイ州までの15の州で、「ブルードX」または「ブルード10」と呼ばれるセミが劇的な方法で地上に出始めました。
“これはまさに壮観な出来事です。このような現象は、地球上はもちろん、宇宙全体を見渡しても他に類を見ない」と語るのは、セミ愛好家でメリーランド大学昆虫学名誉教授のマイケル・ラープ博士。
“13年、17年のセミが何十億、何百億という単位で発生しているのは、地球上ではここだけです」。
虹色の羽と真っ赤な目を持つ体長1~1.2インチ(3.8cm)の黒い昆虫は、成虫になって地上で生活する期間は約3週間で、死ぬ前に繁殖するのに十分な期間である.
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13年か17年で大発生するセミ:謎を日本の研究者らが分析
周期ゼミ(素数ゼミ)は世界で最も長生きする昆虫の1つだが、寿命が奇妙なほど正確である理由は誰も知らない。周期ゼミはきっかり13年または17年だけ生きる。このセミの生物時計がこれほどまでに正確な理由を説明するモデルを、日本の研究者たちが提示している。
周期ゼミは、13年または17年の一生の99%を、地中で幼虫のまま、木の根から養分を吸って過ごす。特定の年の夏がくると、周期ゼミの幼虫はいっせいに地面から這い出す。1本の木の根もとから、数日間に最大4万匹もの幼虫が出てくることがある。
13年または17年という長い時間を正確に計っているだけでなく、13も17も素数――それ自身と1以外では割り切れない数―
彼らが地中で過ごす期間が興味深いのは、13年または17年という長い時間を正確に計っているだけでなく、13も17も素数――それ自身と1以外では割り切れない数――だからだ。
生活周期が比較的大きな素数になっているのは、13年ゼミと17年ゼミの交雑する可能性が最小限になるからだという説が有力だ。たとえば、これが5と7という小さな素数だったとしたら、35年に一度、成虫になる時期が一致する。生活周期が長くても、たとえば12と16のように素数でない数だった場合、12年ゼミと16年ゼミが交雑する可能性は48年ごとに出てくる。13と17のように大きな素数なら、両者が交雑する機会は221年に一度しかめぐってこない。
交雑を避け、大量に出現し種が生き延びるためという説
数学的にはその通りだと思えるが、なぜセミが交雑の可能性を最小限にする必要があるのかは分からない。そこで静岡大学の吉村仁教授は、根本的理由を探るために数学モデルを開発した。13年ゼミと17年ゼミが交雑した場合、生活周期が中程度の長さ――たとえば15年――の子孫が生じるかもしれない、と吉村教授は考えた。その場合、仲間の大多数が成虫になる年より2年早く、あるいは2年遅れて、地中から這い出すことになる。
周期ゼミは大量に発生することを生存のための武器としているため、このような時期のずれは問題だと、吉村教授と共同で研究を行なっているJohn Cooley氏は言う。
セミは捕まえるのが容易で、噛みついたり刺したりすることもないため、捕食者の餌食にされやすい。しかし、何万匹というセミがいっせいに出現した場合、特定の個体が捕食される危険性はゼロに近くなる。
吉村教授のモデルは、交雑がもたらすこのようなマイナスの影響から、素数に基づく生活周期を説明できることを示している。このモデルでは、すべての可能な生活周期から出発するが、13年周期と17年周期が維持されるようになるのは、密度に依存する効果が要因に含まれている場合に限られる。この研究は5月18日付けの『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)で発表された。
一方、セミの発生は、捕食者の生活周期との一致を最小限にするようになっている、という説
一方、この説明は合理的だが別の可能性もある、とバンダービルト大学のGlenn Webb教授(数学)は言う。「セミの発生は、捕食者の生活周期との一致を最小限にするようになっている、というのがわれわれの仮説だ。鳥や小動物といった捕食者の生活周期は2年から5年だ」
Webb教授はもう1つの仮説にも言及した。生活周期が素数になっているのは偶然で、まったく意味はない、というものだ。
Cooley氏は、今回のモデルにはいくつかの仮定が含まれていることを認めている。セミを研究するのはなかなか難しく、生態や進化について多くの謎が残されているからだ。たとえば、交雑によって本当に中間的な生活周期を持つ子孫が生まれるかどうかは分かっていない。また、現在は13年ゼミと17年ゼミの生息地は重なっておらず、今のところ交雑が生じる可能性はない。ただし、最初に分化して以来、それぞれの分布はおそらく変化しているはずだ。
「このことは、セミの個体密度が低くなったときにどんな問題が起きるかを理解する助けになり、今回の考え方がどの程度確からしいかを知る手がかりになる。この問題が明確に数学的な扱いを受けるのは今回が初めてだ」と、Cooley氏は述べた。
周期ゼミ
[周期ゼミは、セミのうちMagicicada属に属する複数の種の総称で、米国東部に分布する。17年蝉と13年蝉の他に、化石種として12年蝉、14年蝉、15年蝉、16年蝉、18年蝉が発見されている。周期的発生および素数年発生の適応的意義を最初に指摘したのは1966年のLloyd and Dybas。吉村教授の著作に『17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る!』(ソフトバンククリエイティブ刊)がある]
参考論文: “Allee effect in the selection for prime-numbered cycles in periodical cicadas” by Yumi Tanaka, Jin Yoshimura, Chris Simon, John R. Cooley, and Kei-ichi Tainaka. PNAS, May 18 2009.(wired)
セミのうち Magicicada 属に属する複数の種の総称。
毎世代正確に17年または13年で成虫になり大量発生するセミである。その間の年にはその地方では全く発生しない。ほぼ毎年どこかでは発生しているものの、全米のどこでも周期ゼミが発生しない年もある。周期年数が素数であることから素数ゼミともいう。
17年周期の17年ゼミが3種、13年周期の13年ゼミが4種いる。なお、17年ゼミと13年ゼミが共に生息する地方はほとんどない。