見ていないのに…なぜ?NHKのBS「受動受信」料金請求 見直し「検討」のまま14年
7/8(木)
「NHKのBSデジタル放送を見ていないのに、受信料を要求された」。西日本新聞「あなたの特命取材班」に、福岡市の男性から投稿があった。NHKの営業員からは「配線を変えたら映る」と迫られたという。見たくなくても視聴できる環境であることから「受動喫煙」になぞらえ「受動受信」と言われ、2007年に始まった総務省の会議以降、問題視されてきた。有識者は「BSは付加的なサービスで民放との違いがはっきりしない。受信料支払いの根拠が不明確だ」と見直しを求めている。
「アンテナと、チューナー内蔵のテレビがあるなら支払うように、との一点張りだった」。投稿した男性は、営業員から迫られた時のことが忘れられない。
14年、BS放送の共用アンテナがある集合住宅へ転居。壁面のテレビ端子からテレビの地上波用端子につなぎ、BS放送は全く見ていない状態だった。ところが17年になり、訪れた営業員から「壁面の端子から分波器でテレビのBS端子につなぐと視聴できる」とチラシを見せられ、支払いを求められた。男性はその後、一戸建てに転居したが、当時の受信料の請求が今も届いているものの、納得がいかずに支払っていない。
放送法64条は「受信設備を設置した者は(中略)契約をしなければならない」と規定。1950年施行当時から基本的に変わっていない。これを根拠に、視聴者が意図せずにBS受信環境が整っている場合も、支払いが求められている。
対応テレビ普及、稼ぎ頭に。NHKにとって、89年にスタートしたBS放送は今や“稼ぎ頭”だ。
放送開始当時、視聴者は自らパラボラアンテナとBS対応のチューナーを取り付け視聴していた。しかし、現在は対応チューナー内蔵のテレビが標準化。共用アンテナのあるマンションも増えた。テレビを設置した場合、いや応なくBSの受信環境が整ってしまう。
こうしたこともあり、地上波とBSを合わせた契約数は2016年度、地上波のみの契約を上回った。NHKは、職員の不祥事が相次いで発覚した04年以降に支払い拒否が急増したものの、BS契約の増加もあり20年度の受信料収入は05年度比で14%増えている。
与野党も問題視
「適切な措置が講じられるべきだ」。総務省が07年に設置した有識者会議「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」は、BSの受信料制度の在り方を主要テーマとして取り上げ、当時からその見直しは課題となっていた。菅義偉総務相(当時)の提案で設置された会議だった。
14年間ほったらかし
NHKは「さまざまな観点からしっかりと検討していきたい」としていた。 ところがその後に進展はなく、18年に再び衆議院総務委員会で取り上げられた。長年問題を指摘してきた立憲民主党の寺田学氏は「放置され続けてきた」と追及。それでもNHKは「引き続き検討を進めたい」と11年前と同じ答弁だった。
研究会は「BS放送はスポーツ中継や映画の視聴が多く、地上波とは違う付加的なサービスではないか」などと指摘した。公共放送とは言いにくくなっており、受信料支払いの根拠が明確でないというのだ。 寺田氏は取材に「BSがNHKの大きな財源となっており、見直しづらくなっているはずだ。ただ、BSは付加的サービスであり、(料金を支払った人のみが受信できる)スクランブル化も十分検討するべきだ」と強調する。
同じように前総務相の衆院議員、高市早苗氏(自民)も強く批判する。総務相を退任する直前の20年9月、自身のブログで「NHK改革は絶対に必要だ」として問題を取り上げ、「BS受信料は、撤廃を含めた引き下げが必要」と指摘。退任直後にも、受動受信が若年層や高齢世帯に重い負担だとして「受信料引き下げの実現を切望する」と訴えていた。
本紙ウェブサイトで受動受信問題を取り上げたところ、1000件を超える「共感」の意見表明があった。具体的なコメントやアンケートへの回答も100件以上寄せられ、同様の経験をしたとの不満が多数あった。北九州市の20代女性は「見てるなら払うけど、人が稼いだお金を簡単に考えすぎ。あり得ない」とつづった。 共感が集まった投稿として「NHKは努力していません。BS放送はスクランブル放送にすれば済むのに」などとあった。
「公共放送」問う重大問題
中央大の鳥居昭夫教授(経済政策)の話 有料放送を含め民放でも類似の番組を視聴できるBS放送で、受信環境がたまたま整ってしまった場合も一律に受信料を課すことは、公共放送の役割として適切なのか問い直すべき重大な問題だ。
早急に対処が必要であるにもかかわらず、先送りされてきた。スクランブル化や地上波との契約一体化も含めて、受信料体系全体の再検討が必要だ。NHKが「質の高い番組を提供している」という理屈だけで、現在の受信料体系を維持してよいということにはならない。
月額受信料(口座振替など)は、地上契約1225円、BS契約(地上契約を含む)は2170円。ともに沖縄県のみ異なる。NHKは職員の不祥事が相次いで発覚した2004年以降、支払い拒否が急増。その後、任意で契約を求めてきた方針を転換。06年から受信契約を結んでも支払いが滞っている場合、09年からは未契約のケースにも支払いを求め提訴するなど法的措置を取り始めた。最高裁は17年、受信料制度は合憲とする判断を初めて示した。
NHK「苦情の集計ない」「放送の対価ではない」
NHK受信料の支払率と契約数、剰余金の推移
BSデジタル放送の受動受信問題が長年たなざらしになってきたことについて、NHKは西日本新聞の取材に、その理由を明らかにしていない。同様の苦情件数を聞いても「集計していない」という。一方で「公共放送の役割」を強調し、BS放送のスクランブル化には否定的な見解だ。
2007年からの総務省研究会から10年以上も対応が進まない理由を聞くと、「現行の受信料制度の下で、何が可能か引き続き検討する」として、明確な回答を避ける。
また、「受信料はNHK事業を維持、運営するための特殊な負担金であり、放送の対価ではない」と説明する。BS分の受信料も「公共放送の社会的使命を果たすための財源だ」と強調。
放送の対価に近づくスクランブル化は「求められている公共の役割と相いれない」と反対する。
NHKは、水道など公共性の高いサービスと同様に、必要な総支出に総収入を一致させるよう受信料額を決められる「総括原価方式」という収支管理が認められている。繰越金などの剰余金が3000億円以上に積み上がっており、受信料を下げる余地が生じてくる。
これについてはNHKも「収支均衡が原則だ」と問題を認めつつ、「毎年、国会承認を受けている」とする。「繰越金が発生した場合、視聴者の方に受信料を還元できる仕組みをつくる法改正をお願いしている」と国会に対応を委ねる。 BS契約が地上波のみの契約を上回るようになった原因について「地上デジタル放送の開始後、チューナー内蔵テレビの普及が大きく進んだため」と説明。「現場で高圧的な営業員がいるのではないか」との指摘には「丁寧な対応を行うよう指導している」とした。(西日本新聞)
ネットの声
スクランブルにすれば良いだけの話。なぜしないのか。
国もNHKも怠慢すぎる。
反日と偏向報道を続けるNHKに公共放送を名乗る資格はない。
受信料なんて払わなければいい。ただそれだけ。
受信料払ってる人は50%くらいではないのか。元NHKをぶっ壊すの党員の人が言ってたけど。
まじでNHKを改革=廃止する時期。地上波なんて民放含めてまじいらない。