宮内庁長官の「天皇陛下は五輪懸念」発言、波紋広がる…憲法学者からは厳しい見方も
2021/06/26
東京五輪・パラリンピックを巡り、宮内庁の西村泰彦長官が新型コロナウイルス感染拡大への天皇陛下の「ご懸念」に言及したことが波紋を広げている。天皇は憲法で政治的な行為が禁じられているためだ。
菅首相は25日、西村氏の発言について、「(西村氏)本人の見解を述べたと理解している」と記者団に語り、問題視しない考えを示した。加藤官房長官も記者会見で「憲法との問題があるとは考えていない」と述べた。
五輪開催については25日に告示された東京都議選でも争点の一つになっている。自民党の閣僚経験者は「宮内庁長官の発言は今後、開催慎重派に政治的に利用されかねない」と危惧する。
「宮内庁長官が政治に絡む天皇の思いを公にするのは、問題で越権行為だ」「西村氏は公にするのは控えるべきだった」
今回の発言について、憲法学者からは厳しい見方も出ている。横田耕一・九州大名誉教授は「宮内庁長官が政治に絡む天皇の思いを公にするのは、問題で越権行為だ。『感染拡大を心配している』との発言は『こんな時に開催するのはけしからん』という意味を持ってくる。五輪に反対する人たちが天皇の意見として都合のいいように利用する状況が生まれかねない」と警鐘を鳴らした。
百地章・国士舘大特任教授は「陛下の思いは、開催した場合に感染拡大が起きないようにしてほしいということだろう」と指摘。そのうえで、「仮にそういう趣旨の思いを感じ取っても、西村氏は公にするのは控えるべきだった」と語った。(読売新聞、抜粋)
安倍晋三前首相「安全で安心な大会にしていく大きな責任を負っている」、公明山口氏「陛下の発言かどうかをあまり詮索すべきではない」
自民党の安倍晋三前首相は前橋市で「当然、さまざまなご心配があるのだろうと思う。だからこそ安全で安心な大会にしていく大きな責任を私たちは負っている」と述べた。
公明党の山口那津男代表は東京都内で「陛下の発言かどうかをあまり詮索すべきではない」と語った。
立憲民主党の安住淳国対委員長は「西村長官は警視総監も務め、軽々しく物を言う人ではない。個人の意見だと思っている国民は誰もいない。謙虚に言葉の重みを踏まえて対応すべきだ」と指摘した。
麻生氏、有本氏
麻生太郎財務相「宮内庁長官は天皇陛下のお言葉を直々に伝えたり、代わりに伝えたりすることはない。そういうルールじゃん。フッフッ」
有本香氏「西村泰彦宮内庁長官を更迭すべきだ。過日の「小室文書」への軽薄な”評価’といい、今回の「勝手に忖度」発言といい、陛下や皇室をお守りするにふさわしい人物とは到底思えない。警察出身ということで期待しただけに誠に残念ではあるが」
西村氏、加藤氏
西村幸祐氏「余りにアホらしい。あの宮内庁長官、名前はいい。苗字が。だが今まで行ったのは真子内親王のご結婚相手とされる小室圭氏への異様な擁護、皇位継承問題有識者会議の全く有識者でない酷い人選、さらに陛下への御進講に反日サヨクを次々選出。皇室解体の工作員の様な人物だと思われたが、遂に馬脚が現れた」
加藤清隆氏「宮内庁長官の「拝察」発言は、陛下のお気持ちを勝手に忖度するものであり、不敬以外の何ものでもない。懸念した通り、これを政治利用しようとする輩がわらわらと出てきた。そもそもご皇室をお守りするという宮内庁長官の職務に違反しているだけでなく、明らかな越権行為だ。直ちに辞表を提出すべきだ」
櫻井よし子氏「天皇陛下に批判の声が向かないとも限らない。西村長官は責任を負うべき」