不出馬宣言の民主党議員が続出…米中間選挙“歴史的敗北”再び?世論調査が示唆
米政界の天王山、11月の中間選挙を控えて、劣勢を伝えられる民主党から「沈む船からネズミが逃げる」ように不出馬を宣言する下院議員が相次いでいる。
民主党下院議員「30人目」の不出馬宣言
2月15日、ニューヨーク州第4選挙区選出のキャスリーン・ライス下院議員が記者会見を開き「今回の任期終了で引退し、中間選挙には出馬しない」と明言した。これで、中間選挙への不出馬を宣言した民主党の下院議員は30人に達した。
中間選挙では上院の3分の1議席(2022年は34議席)と下院の全議席(435議席)が改選されるが、下院民主党は現有議席221の13%余が不出馬を表明したことになる。一方の共和党にも再選を図らないことを表明した議員がいるが、その数は13人だ。ライス議員は不出馬の理由については「私の人生と仕事に一区切りをつけることにした」とだけ言っている。
一方、共和党全国委員会の広報担当者マイク・ベルグ氏はこう皮肉っぽくコメントしている。
「彼ら(民主党の不出馬議員)は、次回の選挙で下院民主党が多数派ではなくなることを知っているから辞めるのだ」。
確かに、選挙で敗退が予想される政党の議員が出馬を断念することはよくあることだが、民主党で30人というのは1992年の41人以来最も多く、やはり異常な動きだと捉えられている。逆に言えば、2022年の中間選挙で民主党は大きく議席を失うのではないかという見方を裏付けているようにも思える。
民主大敗の可能性も
世論調査では定評があるトラファルガー・グループが15日に発表した調査結果では、中間選挙で「共和党候補」に投票するとした者は54.4%「民主党候補」に投票するとしたものは41.9%で、その差12.5ポイントという大差になった。
これを議席配分するのは難しいが、民主党が歴史的大敗を喫したとされる2010年の投票日直前の世論調査では、共和党候補50.7%、民主党候補41.3%で、その差は9.4ポイントだった。(※リアル・クリア・ポリティクス平均値)
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11月までにコロナが完全に終息していなかったり、インフレが収まっていなかった場合には民主党は2010年に失った63議席以上の敗北を喫するかもしれない。
不出馬宣言した約7割は政界引退へ
これまでに不出馬を宣言した民主党議員30人のうち22人は、政界を引退して他の道を辿ると言っている。一方、共和党議員13人のうち政界から引退するのは6人で、残りの7人は上院や知事選への出馬の意向を示している、いわば“積極的不出馬”で、こうしたことも共和、民主両党議員の中間選挙に対する戦意の差を表しているのかもしれない。
「沈む船からネズミが逃げる」を英語で「Rats(ネズミ) flee from sinking ship」とも言い、これをもじって「democRATS(民主党員) flee from sinking ship」と右派のサイトなどで揶揄するが、言い得て妙だろう。
民主党という「船」は、中間選挙で沈没するのだろうか。(木村太郎)
NY下院議員キャスリーン・ライスが2022年の選挙から身を引く30人目の下院議員に
ニューヨークのキャスリーン・ライス下院議員は火曜日、再選を目指さないことを発表し、2022年の中間選挙に向けて30人目の民主党議員の離党となった。
ライス氏はツイッターに投稿した声明で、公職に就いていた時期を振り返り、ニューヨーク市民に仕えたことを「人生の名誉」と称した。
「私は30年前に公職に就き、一度も辞めたことはありません。愛する故郷ニューヨークで、検察官、地方検事、連邦議会議員を務められたことは、私の人生の中で名誉なことでした」と書いた。「私は常々、政治家になることは運命でも権利でもないと考えています。選出された議員として、私たちは自分のすべてを捧げ、そして他の人に奉仕させるべきときを見極めなければなりません」
「私は今年の議会の再選に立候補しませんが、私は残りの任期中、民主主義を守り、有権者に奉仕することに集中し続けます」とライスは続けた。「私自身の個人的な、そして職業上の物語の次の章に目を向けるとき、私は勇気と謙虚さをもって奉仕への私たちの共通のコミットメントを生きてきたコミュニティのリーダー、同僚、スタッフに深い感謝をもってそうする」
再選を目指さない議員は1/25時点ですでに29人いた
29th Democrat announces he won’t seek reelection at midterms – https://t.co/kmOV9ga4T3 pic.twitter.com/arHc4N3VUy
— Breaking911 (@Breaking911) January 26, 2022
下院民主党は、中間選挙における共和党の激しい挑戦を前に、議員を辞めないよう懇願する
January 25, 2022
下院民主党は、11月に予想される共和党の政権奪取を阻止するために、党にとって過酷な選挙の年になると予想される中、退職金制度を放棄して乗り切るよう同僚に内々に働きかけている。
議員たちがワシントン・タイムズに語ったところによると、引退を表明した29人の下院民主党員のうち、激戦区の議員も含めて、戦わずして議席を手放さないよう懇願しているとのことである。