Amazon従業員、労組結成を否決 組合側は異議
2021年4月10日
米アマゾン・ドット・コムが南部アラバマ州で運営する物流施設で行われた労働組合結成の是非を問う従業員投票は9日、反対多数で否決された。アマゾンが声明で明らかにした。同施設での労組結成の活動を主導した小売り産業の労組「RWDSU」は投票結果に異議を申し立てる方針で、最終決着にはさらに時間がかかる見通しだ。
労働者の投票総数3215票のうち、反対票が過半数獲得に必要な1608票を超え、労組結成は否決されることが固まった。同施設では約6000人が働いており、投票率は約55%だった。従業員投票を管轄した全米労働関係委員会（NLRB）が9日までに集計した有効票のうち反対は1798票、賛成は738票だった。同社の労組結成は、経済のデジタル化が進む米国で格差是正をめざす動きとして注目を集めていた。
組合幹部、露骨な違法行為があった
一方、活動を主導したRWDSUの幹部は「労働者の声が法の下で公正に耳を傾けられるまで休むことはない。労働者は必ず勝利する」とツイッターに投稿した。アマゾンが従業員の投票権に干渉する「露骨な違法行為」があったとして、NLRBに不服を申し立てる考えを示した。アマゾンは「事実ではない」と否定している。
アマゾンとRWDSUはNLRBに対し選挙結果や選挙中の行為に対する異議を申し立てることができる。約500票は投票資格の問題などで有効性が争われているという。
トイレの個室まで組合結成反対の張り紙
2～3月にかけて郵送で行われた従業員投票の期間中は、トイレの個室にまで労組結成に反対票を投じるよう呼びかける張り紙を掲げた経営側のなりふり構わぬ手法が米メディアの注目を集めた。バイデン米大統領はアマゾンを名指しすることは避けたものの、2月末に公開した映像の中で従業員らの意思を尊重するよう促していた。
アマゾンの全世界の従業員数は20年末時点で約130万人に上り、うち米国だけで95万人を超えるとされる。一部の施設では新型コロナ対策に不満を持つ従業員によるストライキも起きており、労組結成の動きは今後、米国内の他の地域の施設にも広がる可能性がある。(日経)
労組は投票に異議を申し立てるとの
1,798人の従業員が組合結成に反対票を投じたのに対し、賛成票は738人でした。
投票が終了した時点でも、ベッセマーの5,800人の労働者を代表しようとしている小売・卸売・百貨店労組（RWDSU）は、全国労働関係委員会に不当労働行為の告発を行い、投票に異議を申し立てると述べました。これは、アマゾンが選挙前に行った反組合活動の一部が法律に違反していると主張するものです。
「小売・卸売・百貨店労組のスチュアート・アッペルバウム会長」は、「我々は、アマゾンが今回の選挙を混乱させた行為について、包括的な調査を要求する」と述べました。“働く人々は、この選挙期間中にアマゾンが行った行動よりも良い結果を得るべきです。
今回の選挙戦では、働く人々が自分自身と家族を守るための最善の方法は、組合に所属することであることが証明されました。しかし、選挙期間中のAmazonの行動を無視することはできません。当組合は、Amazonが行った不適切な行動のひとつひとつに救済措置を求めていきます。私たちは、労働者の声が法の下で公正に聞かれるようになるまで、休むことはありません」と述べています。
今年に入ってから、アマゾンは労働専門家が典型的な、資金力のある反組合キャンペーンを倉庫で展開した
労働者によると、シフト中に何度もミーティングに参加させられ、その中でアマゾンの代表者が、労働組合が労働者にとって有益でないと考える理由を説明したという。倉庫のあちこちにポスターが貼られ、中にはトイレの個室に貼られたものもあり、労働者に反対票を投じるよう促していた。
また、従業員が身につけるためのボタンやステッカーを配布し、ウェブサイトやハッシュタグ「#DoItWithoutDues」を作成して、労働者が組合に500ドルの年会費を支払わなければならないかもしれないことを強調しました。
アマゾンの組合結成妨害の歴史
アマゾンには、組合結成を妨害してきた長い歴史があります。1999年、Communication Workers of Americaは、シアトルで400人のカスタマーサービス従業員の組合結成キャンペーンを開始しました。数ヶ月にわたる反組合キャンペーンの後、アマゾンは2000年にドットコム不況に関連したリストラと称して、コールセンターを閉鎖した。
2014年には、デラウェア州にあるアマゾンの倉庫で、21人の設備技術者が国際機械工・航空宇宙労組の組織化に反対票を投じましたが、組合の広報担当者は「管理職や反組合コンサルタントからの強い圧力」と表現しています。(nbc)
