岸田氏、甘利氏を重視 要求通らぬ安倍氏、人事に不満 清新さ乏しく・自民〔深層探訪〕
10/2(土)
自民党新執行部が1日発足した。調整が続く閣僚・党役員人事から透けるのは、岸田文雄総裁が甘利明幹事長を重視していることだ。同氏と近い議員のポストが早々に決定。一方、安倍晋三前首相には配慮を見せつつ、言いなりにはならないとの姿勢もうかがえる。安倍氏は不満を漏らしているとされ、新執行部が党の結束を固めて船出できるかは不透明感も漂う。
◇幹事長が人事伝達
「党を束ねるため力を発揮してほしい」。岸田氏は1日、甘利氏への期待を記者団に語った。
甘利氏が所属する麻生派からは、鈴木俊一氏の財務相と田中和徳氏の幹事長代理、山際大志郎氏の入閣が早々に固まった。このうち、田中、山際両氏は甘利氏と同じ神奈川県が地盤。特に山際氏は甘利氏の下でエネルギー政策などに取り組んできた。幹事長代行の梶山弘志氏(無派閥)も甘利氏に近く、岸田氏がこれらの人事について甘利氏の意向を受け入れたのは明らかだ。
甘利氏は先の総裁選で岸田陣営幹部を務め、勝利に貢献。岸田氏は閣僚や党幹部を歴任して培った交渉力や調整力に対しても高く評価している。
甘利氏は9月29日に議員宿舎、翌30日は党本部で岸田氏と協議。関係者によると、麻生太郎副総理兼財務相の言動がたびたび世論の反発を買ったため、閣内から党副総裁に移して政権へのダメージを軽減することを相談しながら決めたという。さらに、起用が内定した議員には総裁が連絡することが多いが、今回は甘利氏が電話で伝えた。
甘利氏の重用には、細田派から早くも「甘利氏がやりたいようにやっている内閣みたいだ」とやっかみが漏れる。甘利氏は閣僚時代の「政治とカネ」の問題を今も引きずり、1日の記者会見では「事情を全く知らされていない」などと釈明に追われた。野党は検証チームを設置し、国会での説明を求めていく構えだ。
◇「高市幹事長」見送り
岸田氏は、安倍氏が総裁選で支援した高市早苗氏を政調会長に起用するなど、表向きは安倍氏への配慮も示す。内閣の要である官房長官には、安倍氏の出身派閥、細田派の松野博一氏を起用。福田達夫総務会長と国対委員長に内定している高木毅氏も細田派だ。
ただ、安倍氏は岸田氏に「高市幹事長」と、側近の萩生田光一文部科学相の官房長官就任を求めたとされる。これに対し衆院当選5回の萩生田氏起用には、細田派内から反発が上がり、岸田派でも「安倍色が強過ぎる」との意見が多く、岸田氏は要求に応じなかった。
また、細田派でも松野氏や高木氏は安倍氏と距離があることで知られる。安倍氏と福田氏の父、康夫元首相は小泉内閣の正副官房長官の時代に対立した。
スポンサーリンク
複数の関係者は、安倍氏が一連の人事に「いら立ちを募らせている」と明かす。萩生田氏は1日の記者会見で人事の感想を問われ、「期待している」とだけ語った。
安倍氏は「キングメーカー」の立場を確立し、党内への影響力維持を狙うが、森友学園や「桜を見る会」をめぐる疑惑が障害になりかねない。岸田氏は、安倍、麻生、甘利氏の「3A」との関係について、安倍、麻生氏とは良好な関係を保ちつつ、甘利氏に「緩衝材」としての役割を期待しているとみられる。
一方、3Aを意識した布陣は清新さに乏しいとの声は党内に少なくない。党関係者は、岸田氏が総裁選出から党役員決定まで1日空けたことに触れ「いろいろ言われて自分の人事ができなくなった。これは全員野球ではない」と指摘。党内では菅義偉首相の退陣表明で衆院選への危機感が和らいでいたが、中堅議員は「これでは大変なことになる」と漏らした。(時事通信)
ネットの声
高市幹事長、萩生田官房長官ならイメージよかったのに。
今回の人事は正直センスない。
最大派閥の細田派=安倍派にへそを曲げられたら上手くは回らない。
甘利氏や小渕、高木とか、なんで過去に傷ある人たちわざわざ持ってきたの?
短命確定では?優柔不断人事に見える。
選挙で結果は出る。多分悪い方に。閣僚人事見ないとわからないけど、聞こえてくる名前は選挙の顔にならない。
高市氏が靖国明言しているから官房長官を避けたとか言われているけど、本当なら情けない。