IMFトップの進退問題に 中国めぐる不正疑惑が波紋
2021年10月11日1
【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)トップのゲオルギエワ専務理事が、世界銀行の幹部だった際、ビジネス環境に関する国別ランキングで中国の順位を不正に引き上げたとされる疑惑が波紋を広げている。事態を重く見たIMFが連日調査するなど、同専務理事の進退問題に発展している。11日に始まるIMFと世銀の年次総会に影を落としそうだ。
世銀は先月16日、年次報告書「ビジネス環境の現状」(2017年10月発行)で中国の順位を引き上げる不正があったとして報告書を廃止すると発表した。同時に公表された外部調査結果は、世銀の当時のキム総裁やゲオルギエワ最高経営責任者(CEO)らが不正操作に「直接関与し、重要な役割を果たした」と結論付けた。
IMF、ゲオルギエワ専務理事の進退を11日にも判断-関係者
2021年10月11日
理事会は検証作業を完了へ-年次総会も11日開幕
理事会は「極めて早急に」結論を導き出すことを視野-IMF
国際通貨基金(IMF)理事会は11日、ゲオルギエワ専務理事の進退を判断する方針だ。前日には同専務理事が世界銀行在籍時に不適切な行為があったと指摘した法律事務所や、専務理事自身と理事会は協議を持った。事情に詳しい関係者が明らかにした。
各国の財務相や中央銀行総裁らが集まるIMF・世銀年次総会が11日に開幕する中で、加盟190カ国を代表する24人の理事で構成する理事会は専務理事の行為を巡る検証作業を完了しようとしている。
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理事会と法律事務所ウィルマーへールとの10日午後の会合は数時間続いたと、非公開の会合だったとして匿名を条件に関係者が語った。
IMFのジェリー・ライス報道官は10日、「この問題で極めて速やかに結論を導き出すよう理事会は見据えている。その判断において本日、さらに重大な進展があった」と発表し、ウィルマーヘールおよびゲオルギエワ専務理事の両者と理事会が会合を持ったことを認めた。
フランスの財務省当局者によると、ウィルマーヘールの検証では、ゲオルギエワ専務理事の行為が直接的に疑われるような正確な要因に関する詳細は示されず、フランスが同専務理事を支持しているのはこのためだという。同当局者は、専務理事の進退について早急に決断が下されることをフランスは望んでいるとも話した。
1953年8月13日生まれ。2019年から国際通貨基金の議長兼専務理事を務めるブルガリア人の経済学者。2017年から2019年まで世界銀行グループの最高責任者を務め、ジム・ヨン・キムの辞任に伴い、2019年2月1日から2019年4月8日まで世界銀行グループの総裁代行を務めた。