レジ袋有料化は義務ではない。単なる「強い推奨」にすぎなかった、政府が答弁
2022年04月20日
今年1月、東証2部上場のレジ袋メーカーの大手「スーパーバッグ」が、24日から希望退職者の募集を始めると発表した。2020年7月より実施されたレジ袋の有料化にともなう経営が悪化が大きな要因となったようだ。しかし、憲政史研究家の倉山満氏によれば「そもそも、レジ袋有料化は義務ではなかった」のだという。一体どういうことだろうかーー?(以下、倉山満氏による寄稿)
2020年7月1日よりレジ袋有料義務化! 当時の小泉進次郎環境大臣が大々的にキャンペーンしたのを、多くの方が覚えているだろう。
事実、コンビニその他ほとんどの店で、「レジ袋有料ですけど、いりますか?」と聞かれるようになった。ただし、一部のお店では今まで通り無料配布してくれる。不思議に思った方も少なくないだろう。
そして一部の店では、「我々は環境に配慮したレジ袋を売っています!」と、大々的に宣伝している。
しかし、「レジ袋有料化は義務ではなかった」と聞くと驚かれるだろうか。先日の国会で、政府がそれを認め、正しく広報すると答弁したので、ここに一部始終をお伝えする。
長年、レジ袋有料義務化は憲法違反だとされてきた
そもそもである。レジ袋有料義務化は、何度も試みられてきた。しかし、政府で審議するたびに「憲法違反の疑義がある!」と指摘され、断念されていた。
日本国憲法第二十二条
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
ところが、環境省は他の官庁(特に経済産業省)を巻き込み、省令で押し通した。省令とは、法律の下の政令の下の、格下の命令である。政令は内閣が決める命令だが、省令は一つの官庁だけでも出せる命令だ。
ざっくり言うと、
「プラスチックを減らそう!」
「大臣は、その基準を定めることができる!」
「役所が指導、助言をしても、取り組みが著しく不十分と認めるときは容器包装多量利用事業者に対して勧告する。それでも言うことを聞かねば、その業者の名前を公表。それでも聞かねば命令を出す。それでも聞かねば、罰金を科す」
という組み立てになっている。
そして法律を執行する為の省令で「レジ袋を無料で配布してはいけない!」と定めた。
レジ袋有料化は単なる「強い推奨」にすぎなかった
法律でやると憲法違反になることが、なぜ省令で可能となったのか。
理由は三つ。一つは、憲法22条自身が定める、公共の福祉。公共の福祉とは、「みんなの為」と言う意味。憲法で自由は保障するけれども、「みんなのため」には制約されることもある。今回の場合だと、環境問題の為には、営業の自由は制約されうる。
二つは、手続き。先に説明した、法律に根拠を持つ「指導、助言~」以下の詳細な手続きを経てから罰金なので、役所が勝手に権利を制約している訳ではない。
決定的なのは三つめだ。すべてのレジ袋の有料化を義務化しているのではなく、例外規定があることだ。環境に悪くないレジ袋は、無料で配布していい。
なんのことはない。レジ袋有料化は義務でも何でもない。単なる「強い推奨」にすぎなかったのだ。
経済産業省局長「有料化が義務化されたと聞こえてしまったのかも」
詳細は省くが、暴走させたのは原田義昭環境大臣(当時)。次の小泉進次郎大臣は広告塔にすぎない。
2022年4月8日衆議院経済産業委員会では以下のようなやりとりがあった。
日本維新の会漆間譲司代議士の質疑に対し、経済産業省局長の答弁は以下。
「単純に言えば実質的には義務化ということでございますけれども、法令上はですね、命令に従うことが義務だというようなことでございます」
「実質義務化」との表現には驚いたが、法律上は義務ではないのだ。
これを受けて、大岡敏孝環境副大臣の答弁。
「確かにですね、私どもの言い方が十分でなかった面があるかもしれません。すべてのレジ袋を有料化するっていうふうに、有料化が義務化されたというふうに聞こえてしまったのかもしれません」
「これから私たちもしっかりと正しく、正しく、説明するように心がけてまいります」(日刊スパ)抜粋
ネットの声
レジ袋有料化は違憲状態です。法律ではなく省令を悪用した脱法行為であり、法治国家原則に反する。
継続するならば大臣更迭案件だ。
行政が脱法行為を強行したということ。これは法治国家の原則に反する。
即座に省令を廃止すべきです。大臣は更迭、脱法的な省令を出した小泉氏の責任も追及すべき事案。
便乗して紙袋にもお金取られました。
全くふざけている。国家賠償請求事案だろこれ。
強い推奨てなんやねんな。無責任なやつばっか。
参考記事