昨晩の岸田氏の記者会見から一夜明けて、原発9基稼働の真相が明らかになってきました。どうやら9基稼働はこれまで予定していた原発を、スケジュールどおり動かすだけで、政治決断で新たな原発を動かすものではないと判明しました。メディア(TNW含む)のミスリードでした。
原発稼働9基はメディアのミスリードの可能性
事実は以下のとおりです。予定していた原発9基を稼働するもので、新たな情報はなし。
資源エネルギー庁のホームページによりますと、原子力規制委員会が設置変更許可を出した原発は全国で17基で、そのうち再稼動したのは10基。このうち川内1号・2号、玄海4号、伊方3号、大飯3号の5基が運転中です。
あとは特重(特定重大事故等対処施設)の審査が終わった高浜3号・4号、大飯4号、美浜3号、玄海3号が動く予定ですが、入れ替わりに玄海4号が停止するので、最大9基となります。これは予定通りで、新情報ではありません。(agora)
岸田氏の発言
2022年7月14日 首相は「できる限りの多くの原発、この冬で言えば最大9基の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保する」などと述べた。
政府関係者によると、稼働の対象となるのは、関西電力大飯3、4号機、同美浜3号機、同高浜3、4号機(以上、福井県)、四国電力伊方3号機(愛媛県)、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、同玄海3号機(佐賀県)。9基はいずれも原子力規制委員会の審査を通過し、一度は再稼働した原発だ。
14日時点で動いているのは、大飯3号機、伊方3号機、川内1、2号機の4基。ほかはテロ対策施設の完成が遅れるなどしていったん停止しており、電力需給が厳しい冬までに運転を再開させたい考えを示した(朝日)
現状どおり動かすだけで新情報ではない(ネットの声等)
「新しく9基再稼働する」もしくは「特別重要施設問題で止まっている原子炉3基を首相の政治介入で棚上げさせて動かす」と勘違いした人が多かったようです。規制委員会の広報へたの面もありますが、首相と経産省の意図的なごまかしだったら、批判されるべきでしょう
— エネルギーフォーラム (@energyforum_) July 15, 2022
残念ながら玉木氏の言っていることが正しいようです
9基の稼働はもともと予定したもので、政治判断で新たに再稼働するものではない
実際に国がやるのは、来年1/20予定の玄海3の運転再開を出来るだけ前倒しでできるよう九電のお尻をたたくことと、(前倒しに)地元理解が得られるよう国も頑張るというところでしょうか。いずれにしても、既に再稼働が認められている10基のうち9基を予定どおり動かすだけで、新たな再稼働はありません。
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) July 15, 2022
このプレゼン(会見)は問題。既に再稼働が認められた原発のうち、定期検査などで止まっているものが稼働するだけの話だし、それも全て西日本。肝心の東電管内で新たに動く原発はゼロ。電力危機の回避にはつながらない。パフォーマンスではなく電力の安定供給にもっとリーダーシップを発揮してほしい。
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) July 14, 2022
岸田さんの《原発9基再稼動》は、世論に対する「観測気球」だと思いますが、実際には玉木さんの指摘のとおり、これだけでは足りない。そこで運転中審査制度を活用し、審査中、工事中、待機中の原発の中で技術的に起動できるものがあれば再稼動させましょう!島根、東海第二、女川、泊、柏崎刈羽など。 https://t.co/9E5fZd1pf1
— 井上リサ (@JPN_LISA) July 14, 2022
よって新たな原発を稼働させるためには、来年3月に特重の工事が終わる予定の高浜1・2号基を動かす必要がある(関西エリア)。
なお、東電エリアの柏崎刈羽6号・7号基は、不祥事で「是正措置命令」が出ているため、委員会が解除命令をださないと運転できず。(東電HD)