バイデン氏危うし 温暖化対策の法案難航 身内議員抵抗
2021/10/23
【ワシントン=塩原永久】英国で月末に始まる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、バイデン米大統領が巨額歳出法案の議会通過を急いでいる。温暖化対策を盛り込んだ法案が成立しなければ、米国の温室効果ガス削減目標の実現が危ぶまれ、バイデン氏が演出したい国際指導力に傷がつきかねないためだ。法案に反対しているのは、石炭産地出身の与党・民主党議員。バイデン氏は身内の抵抗に手を焼いている。
「法案が成立しないで、どうやって大統領は『米国が環境対策のリーダーだ』と示せるのですか」
ホワイトハウスの21日の定例記者会見で、記者からそんな質問を受けたジャンピエール副報道官は「議会に頼らなくても大統領は大丈夫だ」と強弁するほかなかった。
バイデン政権と民主党指導部がまとめた3兆5千億ドル(約400兆円)規模の歳出法案は福祉拡充や環境対策が柱だが、党内の意見集約に手間取り、成立が遅れている。
法案には、石炭などの化石燃料から、太陽光や風力の再生可能エネルギーへの移行を、電力・ガス事業者らに促す優遇措置などが盛り込まれている。米国が掲げた温室効果ガス排出量を2030年に05年比で50~52%削減する目標の達成には、こうした施策が不可欠だとされている。
法案成立に立ちはだかる壁は、民主党の上院議員、ジョー・マンチン氏だ。
全米屈指の石炭産地である南部ウェストバージニア州選出で、バイデン氏による直談判にもかかわらず、21日にも、法案内容に自身が合意するのは「すぐにはあり得ない」と言い放った。
マンチン氏は党内で穏健中道派と位置づけられ、財政赤字拡大に反対する立場から、巨額歳出法案の規模縮小を主張。バイデン氏と党指導部は、マンチン氏ら中道派の要求を受け入れ、2兆ドル程度まで圧縮した。
上院(定数100)で民主党は50議席を押さえているが、1人でも離反すれば法案を可決させられない。「決定票」を握る形となったマンチン氏が、バイデン氏と党全体を振り回す構図となっている。
地元州知事を経験したマンチン氏は、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を後押しする「グリーン革命」に消極的で、温暖化対策に熱心な民主党の急進左派から敵視されている。巨額歳出法案の一部の温暖化対策にも、地元雇用を守る立場から反対していると報じられている。
トランプ前米大統領が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から脱退したが、バイデン氏は就任直後に復帰し、「世界を主導する」と宣言した。法案を成立させて具体策を打ち出せなければ、温室効果ガス削減目標が「空手形」となりかねず、「米国の信頼性に傷をつける」(米環境団体首脳)と指摘される。米政権はCOP26開幕までに何としても法案通過のめどをつけたい考えだ。
マンチン議員は、民主党ながら選挙改悪制度とフィリバスター廃止に反対した穏健派
マンチン議員とともに、法案に反対しているマンチン議員とシネマ議員に、急進左派が強烈な嫌がらせ(10/4)
バイデンの予算法案を削減するよう訴える民主党議員に嫌がらせをする左派活動家
シネマ議員は、アメリカの社会的セーフティネットの拡充を目的としたバイデンの3.5兆ドル規模の法案の支持を拒否したことで話題になっていた。彼女は他の人たちとともに、この法案に異議を唱え、3.5兆ドルの予算を切り詰めることを要求している。
Watch: Arizona Democrat Senator chased into the toilet by protesters demanding action on the reconciliation billhttps://t.co/rrFZ6GZh6P
— OpIndia.com (@OpIndia_com) October 4, 2021
バイデンはシネマとマンチンの嫌がらせを「プロセスの一部だ」と擁護
「それはプロセスの一部です」
Biden defends the harassment of Sinema and Manchin: “It’s part of the process” pic.twitter.com/WnIg1l0ZRS
— Jewish Deplorable (@TrumpJew2) October 4, 2021