瀬戸内の水温は3、4度上がる
▽広島での藻場活用に期待
豊かな海づくりを掲げる瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)改正案が国会に提出された。法案の担当大臣で、菅政権で気候変動問題を担う小泉進次郎環境相に改正の狙いや背景を聞いた。
―海に対する思いを聞かせてください。
地元は太平洋に面した神奈川県横須賀市。幼い頃から元気をもらった。大人になっても嫌なことがあったり、ストレスがたまったりした時は地元の海に行って力をもらっている。
2019年9月に環境相となり、即動かねばと思ったのは気候変動対策。このままだと海面上昇などで国内の砂浜の8割が消える。瀬戸内海は今世紀末に水温が3、4度上がるとの予測もある。生態系に致命的なダメージを与えるだけでなく、国民の命や国家の安全保障につながる。だからこそ改正案の基本理念に気候変動対策を入れた。
瀬戸内海のゴミで国産スニーカーを作る
―重点取り組みに海洋プラスチックごみ対策を入れたのも、その一環ですか。
海の生き物や、それを餌とする鳥など多くの命を脅かしている。プラスチックは二酸化炭素(CO2)を大量に出す石油から作られる。使い捨てプラスチックを減らせば気候変動対策になり、瀬戸内海はモデル地域になる。閉鎖性海域で外洋から流れ着くごみはほとんどない。地域を挙げて排出抑制をすれば目に見える効果が出る。同時に「アップサイクル」を進めたい。
―廃棄物を価値の高い製品に再生することですね。国内外のスポーツ用品メーカーは既に海洋プラごみから服や靴を作っている。瀬戸内海のごみで国産スニーカーを製造したらどうか。廃棄物を新たな資源として回す「サーキュラーエコノミー(循環経済)」を推進したい。
―広島といえばカキ。養殖業者が植林を進めていることを知っていますか。
ええ。山林の土壌に含まれるミネラルや栄養分が川を伝って海に流れ、養殖が成り立つ。「森は海の恋人」という言葉に出合ったのは東日本大震災後の宮城県だった。海と山は一緒。そんな想像力を多くの人たちと共有したい。(中國新聞)
「レジ袋有料化は環境効果なし」と言いきっていた進次郎
「不便極まりないのは申し訳ないなと。レジ袋を全部無くしたところで、プラスチックごみの問題は解決しません。それが目的ではありません。この有料化をきっかけに、なぜプラスチック素材が世界中の問題となって取り組まれているのか、そこに問題意識を持って一人ひとりが始められる行動につなげてもらいたい。是非ご理解いただけるように引き続き努力をしたい」(president.jp)
レジ袋の不評にも関わらず、コンビニでスプーン有料化検討「自分で持ち歩く人が増える」
2021/03/09
政府は9日、事業者にプラスチック製品の削減を義務づけるプラスチック資源循環促進法案を閣議決定した。今国会に提出し、2022年4月の施行を目指す。環境省は成立後、省令でコンビニエンスストアのプラ製スプーンや飲食店のストローの有料化などを検討している。
法案は、プラスチックごみ(プラごみ)の排出を抑制し、資源を循環させることを目的とした新法で、製造、販売、回収の各段階で新たな措置を盛り込んだ。
小泉進次郎氏
プラスチックを巡っては、昨年7月から容器包装リサイクル法に基づいて小売店のレジ袋が有料化されている。小泉環境相は新法案について「コンビニでスプーンなどが有料化されれば、自分でスプーンを持ち歩く人が増えていく。こうしたことでライフスタイルを変化させていきたい」と述べた。(読売新聞)抜粋