ペロシはなぜ訪台したのか?それは戦略的に行われたことだったのか?
ペロシが訪台してから、東アジアではにわかに緊張が高まっています。
ペロシの訪台を歓迎する向きもありますが、果たしてこの訪台は正しかったのか。
それは今後分かることですが、少なくともペロシの訪台はバイデン政権が戦略を持って実施したことではないと考えます。
台湾の主権を尊重するために、訪台することは支持できますが、そのためにはそれなりの戦略が必要です。
少なくとも現在のバイデン政権にはそれ(事後の戦略)がありません。それどころか、ペロシの訪台について、正式支持はせず、ひたすら火消し対応に追われています。
NO3のペロシが訪台すれば、中国が強気に出て来ることはわかっていたはずです。だとしたら、台湾近海での軍事訓練もあるだろうと予想できたはず。しかしながら、その後の対応はできていません。
ペロシの訪台は短絡的にペロシ自身とその周辺が行ったものはなく、少なくともバイデン政権は積極的に関与していないと考えます。
トランプ大統領は混乱を助長したと指摘(Truth Social 8.3)
なぜクレイジーペロシは台湾にいるのか。いつもトラブルを引き起こしている。
彼女は何をやってもうまくいかない(2度の弾劾の失敗、議席の損失など)。
1.バイデン政権はペロシの訪台を公式に支持していない
記者の質問に、ペロシの個人的な行動、ペロシには行く権利があるとだけ答えるバイデン政権。
バイデン大統領がナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問を支持しないことについて、Foxニュースのドゥーシー記者の質問に答えようとしないカリーヌ・ジャン=ピエール
ドゥーシー「バイデン大統領は習近平の感情を害することを心配しているのか?
Karine Jean-Pierre refuses to answer Fox News' Peter Doocy's question about President Biden not voicing support for House Speaker Nancy Pelosi's trip to Taiwan.
Doocy: "Is President Biden worried about hurting Xi's feelings?" pic.twitter.com/jQz9iw3tHE
— Townhall.com (@townhallcom) August 3, 2022
ドゥーシー「共和党はどうして大統領よりペロシ議長の訪台を喜んでいるのか。
ミッチ・マコーネル共和党上院院内総務は、ペロシ議長が行くことは重要だと思う、と言った。リンジー・グラハムは、彼女が行くのは良いことだと言った。チャック・グラスリーは彼女が大統領バイデンを行ったことを喜んでいると確信していると」
カリーヌ・ジャン=ピエール「私たちはとても明確にしてきました。ペロシ議長が台湾に行く権利があることは、この1週間ほどで明白になりました。権利があると言ってきた」
ドゥーシー「なぜ大統領にとって、(ペロシを支持すると言うことが)そんなに難しいことなのでしょうか? 彼女は勇敢な先駆者であり、他の多くの人々と同様、彼女が行ったことは素晴らしいことだと思う、と言うだけだ。ペロシ議長は偉大な先駆者だと思う、つまり彼女が行ったのは良いことだ」
カリーヌ・ジャン=ピエール「しかし、私たちが言っているのは、私たちは議員の行き先に口を出すことはできない、ということです。最後まで言わせてください」
ドゥーシー「彼は、彼らが行くことを支持することはできませんが、彼はそれが良かったかどうか言うことはできるはずだ」
*国防総省はペロシの台湾支持の発言を否定します。
「権利がある。問題はない」とても戦略的に行っていると思える言葉とは思えません。
米ホワイトハウスのカービー戦略広報担当調整官は1日の記者会見で、「ペロシ下院議長には台湾を訪問する権利がある」と述べ、訪台しても問題はないと強調した。(高崎前橋経済新聞)
2.訪台計画を見直さないペロシ氏にバイデン政権は激怒、説得に応じずと関係者
2022年8月4日 ペロシ米下院議長の台湾訪問前、ホワイトハウスはペロシ氏自身が判断するとして、訪台に介入しない立場を表明していた。
しかし水面下では、中国との関係が極めて微妙な時期にペロシ氏がキャリアの頂点として訪台にこだわっていることにバイデン政権当局者は激怒していた。
事情に詳しい複数の関係者によると、訪台を先延ばしするよう説得するため、ホワイトハウスはペロシ氏と同氏のチームの元に米国家安全保障会議(NSC)のメンバーと国務省当局者を差し向け、地政学的リスクを説明させたという。
た別の事情に詳しい関係者らによれば、北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要同盟国に台湾を正式に指定することなどを盛り込んだ台湾支援強化法案について、ホワイトハウスは民主党上院議員に反対するよう働き掛けている。(bloomberg)
3.バイデンは「軍」が反対していたと口を滑らす。「私は状況がどうなっているか知らない」
ジョー・バイデン米大統領がまた、やらかした。中国の習近平総書記(国家主席)との電話会談を前に、軍事衝突のリスクをにじませる「失言」をしたのだ。大統領は米下院議長の台湾訪問に「米軍が反対している」と明らかにした。いったい、何が起きているのか。
それは、7月20日のことだった。バイデン大統領はナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問計画について、記者団に問われて「米軍は、それがいい考えだとは思っていない、と思う。だが、私は状況がどうなっているか、知らない」と語った。
この答えを聞いただけで、怪訝に思う読者もいるだろう。記者団もそうだったはずだ。なぜ、下院議長の訪台問題に米軍が口を出すのか。それは、この問題が単なる議員外交の問題ではなく、軍事衝突に発展する可能性を秘めているからにほかならない。(gendai.media)
4.米の保守論客はペロシの私利私欲、半導体利権だと指摘
これについて2度記事を書きましたが、その可能性はあったとしても、それが主な目的であったとは思えません。いくら強欲なペロシでも、半導体の私利私欲だけで、訪台し米中の緊張を高めることまではしないと思います。なのでこれが主な目的だとは思えません。
全世界で最も高い容量の最も高い品質の最もハイエンドな半導体はどこで製造されているのか?
この質問に答えれば、ペロシ議長の台湾訪問で何が起こっているのか、なぜこのようなことが起こっているのか、理解できるはずだ。
軍事劇場も、サーベルの音も、あなたが見ているものはすべて、それは歌舞伎の舞台だ。私は歌舞伎の日本語を知っている。なぜなら、ここで起きていることは、彼女と彼女の夫のポンプとダンピング(風説の流布)計画だからだ。
しかし、それはNVIDIA(アメリカにある半導体メーカー)への補助金に関するものだった。半導体の補助金についてだったのだ。
*もし、TSMCに半導体の仕事が流れれば、アメリカからの補助金が入るとともに、ペロシの持つABの株価が上がることになる。
4.中国はペロシの訪台を内実、喜んでいる
ペロシの訪台は、中国に(台湾侵攻の)機会を与えてくれた。ペロシよ、ありがとう。と中国関係者が述べた(NHK「キャッチ!世界のトップニュース」8/5)
5.中間選挙でペロシは下院議長の座から引き摺り下ろされる
バイデン民主党の支持率は悲惨の一途。調査するたびに下がり、調査会社によっては30%を切るところもあり、
あのCNNですら「民主党は中間選挙で壊滅する」と言っている
物価が1981年以来の高率で急騰しているため、インフレは “今年11月の中間選挙で民主党に破滅をもたらす可能性がある”。
CNN「厄介な数字は、来たる中間選挙で民主党に破滅をもたらす可能性があります。」
2年に1度、総入れ替えする下院議員。11月の選挙で民主党は大敗北し、ペロシは下院議長の座から引きずり下ろされます。
下院どころか、1/3を入れ替えする上院(現在共和党50、民主党50で拮抗)も共和党が奪還すると見られています。
以上から考えると、ペロシは政権の反対を押し切って、下院議長でいられる後3ヶ月の間に、名を残そうと訪台を目論(もくろ)んだと考えます。
ペロシ氏がキャリアの頂点として訪台にこだわっていることにバイデン政権当局者は激怒(bloomberg)
何度も言いますが、訪台自体は支持します。しかし、バイデン政権自体の戦略の一環としての訪台ならばです。
無秩序な訪台は混乱を招きます。
以下、同じ意見の記事(台湾のメディアが書いたもの)を見つけたので引用します。👇
個人の「歴史的評価」を追求した下院議長
ペロシ議長は蔡英文総統との会談(8月3日)で「台湾を見捨てない」と約束した。
全国紙など日本の大手メディアは台湾側の「熱烈歓迎」ぶりを伝えるが、訪問の内情を知れば、それは表向きに過ぎないと分かる。
英ガーディアン(電子版、8月2日付)は台湾紙の調査を引用して、「約3分の2の台湾人が、ペロシ議長の訪問は状況を不安定化させる」と考えていると報じた。
台湾紙の中国時報(電子版、8月2日付)は、アメリカと台湾の高官がいずれも訪問中止を求めたにもかかわらず、現在82歳で中間選挙(11月)後に退任する可能性が高いペロシ氏が「個人のレガシーの追求を堅持した」と書く。
インド太平洋調整官の説得も無視
前出の中国時報記事は、台湾の簫美琴駐米代表の台湾外交部宛て公電の内容をもとに、ペロシ氏が20日に簫氏に電話して訪台の意向を伝えたと報じる。
ペロシ氏はこのとき、バイデン大統領の先述のけん制発言を受け、台湾側も招待撤回に傾いていたことを初めて知ったという。
この動きを受け、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル・インド太平洋調整官は7月22日に簫氏に電話し、ペロシ氏に繰り返し訪問延期を迫った経緯を明らかにした。
また同日、オースティン国防長官がペロシ氏に直接、訪台すれば中国が威嚇(いかく)行動に出る恐れがあることを伝えたという。
米台両国にとって利益なし
電話協議で習氏とバイデン氏は、台湾問題について激しく対立しつつも、衝突回避では一致した。
それだけに、ペロシ議長の訪台は米中両首脳の顔を完全につぶしてしまった。
8月3日にペロシ氏と会談した蔡総統は「議長は台湾の最も強力な友人」「米議会の台湾への盤石な支持」などと持ち上げたものの、アメリカ高官訪台の際にこれまでしばしば使った「台米関係の突破」や「台米関係は史上最高」などの表現は一切使わなかった。
ペロシ議長の訪問が「痛し痒(かゆ)し」だったことが窺(うかが)える。(businessinsider)
どれもこれも、政権の体を成していない、幹部レベルの統制さえ取れていない民主党の大失態です