トランプ大統領とデサンティスフロリダ州知事
2人とも保守中の保守、そして2024年の共和党の大統領候補の座はこの2人が争うことは確実です。
当初2人は仲がよかったのですが、現在は最悪の仲です。特にトランプ大統領がデサンティス知事をとことん嫌っています。
ご存知の方も多いと思いかますが、トランプ大統領はデサンティス知事を「ロン・デサンクトモニアス」と呼んでいます。意味は「聖人ぶった偽善者」という意味で最大級の侮蔑の言葉です。
なぜ2人はここまでの仲になってしまったのか。そして、最後に共和党候補の座を射止めるのはどちらなのか?2人の現状を書いてみたいと思います。
トランプ大統領の批判
トランプ大統領のデサンティス批判は強烈です。
2023年2月のTruth Socialの投稿では「デサンティス氏をミートボール」とさえ呼ぶなと言っています。
私は、フェイクニュースが言うようにロン・デサンクトモニアスを、「ミートボール・ロン」と呼ぶことは決してしないだろう。フォックスニュースが無能なポール・ライアンを攻撃しているときでも、エネルギー不足のジェブ・ブッシュが彼の英雄であり、彼の州のビーチや州も長期間閉鎖された。
また、中国ウイルスの検査もうまくいかず、彼の忠誠心は本当に弱いのです。そんな彼を「ミートボール」というあだ名で呼ぶことは完全に不適切だ!
(2023.2.18)
そして、デサンティス氏に直接関係のないフェイクニュースを批判する時にも、デサンクトモニアスと呼んでいます。
(2023.4.22)
トランプ大統領は政敵にあだ名をつけるのが得意で、2016年に大統領選を戦ったヒラリーを「crooked(不正な、ねじ曲がった)ヒラリー」と繰り返し呼び、ヒラリーを徹底的に叩いていました。この戦略が奏功したこともあり、ヒラリーに勝利したのですが、今度はデサンティス氏に対しても同じ戦略をとっているようです。
トランプ大統領の意図を察してかどうかは分かりませんが、ネット上ではデサンティス氏を「デサンクトモニアス」と呼ぶツイートやTruthでの投稿が散見されます。
蜜月
少なくとも昨年の初めまではトランプ大統領とデサンティス知事の仲は悪くはありませんでした。むしろ良好とも言える仲でした。
昨年2月のニュースマックスのロブ・フィナティ氏とのインタビューで「2024年のトランプ大統領-デサンティス副大統領の可能性」について問われたトランプ大統領は、同氏と良好な関係にあることを指摘しました。
「まあ、彼とは仲がいいんだ」「彼の成功は私の影響だ。私が彼を支持したことで、彼はロケットのように上昇したのだから」と述べていました。
トランプ大統領の腹の中にはデサンティス知事を副大統領にと考えていたことは、まず間違いないと思われます。2人との保守だから当たり前と言えば当たり前なのですが、2人の考えは非常によく似ています。
トランプ大統領の誘い
トランプ氏、デサンティスを副大統領に出馬させることを否定せず「彼とは仲良くやっていける」(The Hill:2022.7.2 )
Trump doesn’t rule out running with DeSantis as his VP: "I get along with him" https://t.co/0df6OZIhAt pic.twitter.com/hSgtqK3aV0
— The Hill (@thehill) July 2, 2022
この時、トランプ大統領はデサンティスに誘いをかけたのです。副大統領候補にどうかと。もしかしたら水面下でもデサンティス氏と交渉していたのかもしれません。
トランプが押し上げたデサンティス
デサンティス氏はトランプ大統領がメジャーに押し上げました。
トランプ大統領は昨年11月のTruthSocialで次のように述べています。
「2017年に初めて知事選に立候補した時には「絶望的な状態で」トランプ氏のところにやって来た。ロンは支持率が低く、世論調査の結果も悪く、金もなかった。だが私が支持すれば勝てると言っていた。私は彼の選挙運動を直してやった。完全な崩壊状態だったからだ」(BBC)
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トランプ大統領は、TruthSocialだけでなく、演説やラリーでの度ごとに「自分がデサンティス氏をここまでにした」と何度も言っています。
では、なぜ非常に不誠実なロン・デサンクティモニアスが、良い政治家だとさえ思われるのだろうか。彼は、農業委員会のアダム・パトナムに圧倒的な差で大敗し、私に会いに来たときには、もうだめだった。ロンは候補者としての成績が悪く、ことごとく敗れていたとき、私に推薦を求め(懇願し!)、私はそれを彼に与えた。そのとき、ロンは私の支持を求め(懇願し)、私はそれを彼に与えました。そして、私の集会が彼を将軍に導いたのです…。ありがとう、トランプ大統領!
(2023.4.24)
そんなトランプ大統領からすれば、押し上げてやったデサンティス氏には恩があるはずだと考えたはずです。さらに2人の年齢は、32歳の差があります。自分の次にデサンティスだと考えていても不思議はありません。
キーとなったデサンティスの発言
デサンティス氏は2012年に連邦下院議員に初当選し、在任中、議員連盟フリーダム・コーカスの創設メンバーとなり、ドナルド・トランプの盟友となりました。
2018年のフロリダ州知事選挙に出馬し、デサンティス氏は民主党候補のアンドリュー・ギラム、タラハシー市長に対し、3万2000票(得票率0.40%)差という僅差で勝利しました。そして、再選を狙って出馬した昨年11月の知事選で圧勝し、名声をほしいままにしたのです。
2022年の中間選挙でトランプ大統領は自身を支持するMAGA議員を次々当選させました。MAGAではないデサンティス氏にも、「フロリダではデサンティス氏に投票を」と呼びかけていたのです。
しかし、デサンティス氏は再選のインタビューで「任期4年を全うするか」と質問された際に、回答を濁したのです。
これがトランプ大統領の怒りに火をつけました。
トランプ大統領にとってこの発言は無視できないものでした。再選しながらも任期真っ当しないということは2024大統領選に立候補するというメッセージであり、トランプ大統領はもちろんメディアも支持者も当然、そううけとりました。
この発言を聞いて、トランプ大統領はデサンティスを無責任だと罵ったのです。トランプ大統領支持者もこれに呼応しデサンティス氏の徹底批判を繰り広げ、それは今に至っても続いています。
デサンティスの失速
デサンティス氏は4月24日から25日まで訪日し、岸田文雄首相を表敬訪問するほか、林芳正外相と会談しました。また、訪日後に韓国、イスラエル、英国を訪問しています。
この訪問については、保守層からもメディアからも評価はボロボロです。
トランプ広報、リズ・ハリントン氏「ロン・デサンティスは先週世界中を旅して過ごしたが、彼が得たのはこれらのひどい見出しだけだった」
Ron DeSantis Spent Last Week Traveling The World, And All He Got Were These Terrible Headlines pic.twitter.com/i6oapa7El6
— Liz Harrington (@realLizUSA) April 29, 2023
The INDEPENDENT:ロン・デサンティス批判者、英国旅行での「残酷」な評価にほくそ笑む
ニューヨークタイムズ:国内でつまずいたデサンティスは、海外へ出て足元を固める。
ザ・ヒル:トランプ氏、新調査でデサンティス氏を46ポイント差で上回る
ロールコール:ロン・デサンティスは何をしているのか?
NBC NEWS:「彼は困っているのでは」
日本に滞在していたデサンティス知事が、トランプ大統領に遅れを取ることを示す世論調査について問われた際に、こう答えています。
「私は現在候補者ではないので、状況が変わるかどうかを見てみましょう」
"I'm not a candidate, so we'll see if and when that changes," Gov. DeSantis, who is in Japan right now, says when asked about polls that show him falling behind Trump. pic.twitter.com/nDVeyBoVHN
— Kaitlan Collins (@kaitlancollins) April 24, 2023
おどけて見せたデサンティス氏ですが、動揺はありありでした。これまで強気で左派メディアや左派言論人に対しても毅然とした態度をとるデサンティス氏のこんな姿は初めて見ました。正直、驚きでした。
そして泣きっ面に蜂、デサンティスはディズニーから提訴されました。
デサンティスの凋落
そして勝負は決しました。トランプ62%:デサンティス24%(1月:トランプ48%:デサンティス35%)
理由は、ディサンティスの裏切りと捉えた保守層だけでなく、もう一つ大きな要因があったのです。
バイデン政権の後押しです。左派メディアや左派論客でさえ「世紀の大失策」と捉えたトランプ大統領の逮捕・起訴です。中間層の同情と保守層の怒りがトランプ大統領に集まり、トランプ支持はこれまでにない高まりを見せています。
実際、ブラッグ検事の起訴は完全に下手を打った感じで、起訴の根拠からしても薄く、法律に明るい左派弁護士たちはすでにそっぽを向いています。
トランプ政権にいたのですが、あまりの過激な発言でトランプ大統領からクビになった天敵のあのジョン・ボルトンも、あまりにも根拠がなさすぎて落胆したとあのCNNで述べているくらいです。ちなみにボルトンは弁護士でもあります。
起訴後の世論調査では76%が政治的要因があったと答え、民主党支持者ですら6割がそう答えています。
この時、イーロン・マスク氏は「そんなことをしたらトランプ大統領が地滑り的に勝利するだろう」とツイートしましたが、今のところその予想は当たりそうな気配です。
デサンティスに支持集まらず
NBCニュースによると、4月23日の時点で、トランプ大統領は50人以上の議員(上院議員9人、下院議員48人、フロリダ州共和党議員の半数以上)から支持を得ていますが、デサンティス氏に至っては2名の下院議員からしか推薦を獲得しておらず、地元フロリダ州の下院議員の半数以上がトランプ大統領支持を打ち出しています。
トランプ陣営のある幹部は、フロリダ州の支持を固めるための努力について、「まるでバターをナイフで削るようだった」と語った。”我々は多くの説得をする必要はありませんでした。”
Meet the press「トランプの候補者に支持を与えるゲームは、デサンティスを沈めるための初期の努力で実を結ぶ。金曜日の時点で、トランプ氏の2024年大統領選挙キャンペーンは、50人以上の議員からの支持を誇っている。まだ候補者でないフロリダ州デサンティス知事は、わずか3人だった」
Trump's endorsement long game pays off in early efforts to sink DeSantis.
As of Friday, Trump's 2024 presidential campaign boasted endorsements from more than 50 members of Congress. The Florida governor, not yet a candidate, had only three.https://t.co/aIyZODViJm
— Meet the Press (@MeetThePress) April 22, 2023
デサンティス出馬へ
米フロリダ州のデサンティス知事は5月半ばにも米大統領選挙への出馬を表明する可能性がある。NBCが事情に詳しい4人の共和党関係者を引用して伝えた。関係者1人によると、デサンティス氏はまず検討委員会を立ち上げ、その後に程なくして正式に出馬を表明するという。
正直、4月で勝敗は決したと言えます。デサンティス氏が共和党の候補になることは余程のことがない限りあり得ないでしょう。
下手をすると出馬を取りやめる(元々本人は一度も出るとは言っていませんが)のではないかとの憶測も飛び交っています。
そして、民主党はあの老ぼれバイデンが出馬を宣言し、民主党を困らせています。なぜ大統領になれたのか本人が一番わかっていないからタチが悪いのです。
このままでいけばトランプ大統領が第47代大統領になる可能性は極めて高いと思います。
ただし、民主党が不正をやらないか、または本気で共和党がそれに対する措置を講じた場合です。
これについてはまた別途書きます。